オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「心と行動は一致する」 表情を変えるだけで伝わる力がアップする

»

演奏しているときの表情って難しいですよね。
いざ舞台に立ったとき、どういう表情をしていいのかわからず、あっというまに終わってしまった、ということはよくあることだと思います。
 
2012年1月7日、合唱団コール・リバティストに指揮者の藤本先生をお招きしての稽古を行いました。
 
この日は、中田喜直作曲の混声合唱のための組曲「都会」全曲を練習しました。
1月15日、演奏会に出演することになっていて、「都会」を歌う予定です。
 
藤本先生は、「舞台でこの作品をどのような表情で歌うのかイメージしてください」とおっしゃいます。
 
「表情が良い合唱団は、それほどでなくても演奏もなぜか素晴らしく聴こえてしまったりします。逆に、ものすごく上手なのに、顔が無表情だと演奏も良く聴こえなくて損することがありますよ。」
 
難しいのは、伴奏が前奏や間奏を弾いているときの表情です。
硬くなりすぎて無表情であったり、気が抜けて素に戻っていたり、歌えるかな?と心配そうな表情していたり、落ち着き無くきょろきょろしていたりするのは、客席から見ていてもとても気になります。
内容に合った表情で立っていてくれると、聴いているほうも自然と音楽に入っていけるのですよね。
 
一流のオペラ歌手は表情も音楽的ですね。
オペラは、歌だけでなく演技も必要ですので、芝居ができなくては務まりません。上手な人は、表情だけでなく目でも表現しています。
 
歌曲で気をつけなければいけないのは、歌い終わったあとの後奏だそうです。
歌手は無事歌い終わって、ついついホッとした表情になりがちです。
シューマンの「女の愛と生涯」などは、長い組曲の最後に、ピアノパートがめんめんと第一曲を回想するのですが、素晴らしい歌手はそういうときにも全く音楽の中に入ったまま。その表情を見ているだけでも感動してしまうほどです。
 
歌の技術だけではなく、表情も研究してみると、演奏にさらに奥行きがでてくるのではないでしょうか。
 
さて「都会」ですが、5曲の小品からなる組曲。どのような表情が良いでしょうか?
 
第一曲「星」は、都会の持つあこがれや喧騒、そして夢を表現しています。キリリと理想に燃えた表情で立ちたいですね。
 
第二曲「ふりむくな」は、中田さんのシリアスな作品によくあるのですが、休符が多く、音の無い瞬間がたくさんあります。目を見開いたり、音がないところの緊張感をぜひ表現したいですね。
 
第三曲「若者たち」は、都会の若者に大人が「人生って思い通りにはならないんだよ。君たちもいずれ分かるさ。でも人生そんな悪いことばかりじゃない」というようなニュアンスのある作品。ブルース調でもありますし、にこやかというよりは、ちょっと複雑系な表情がいいかもしれませんね。
 
第四曲「子守唄」、これは神秘的で静かな作品。遠くを見つめるような目の表情が欲しいですね。楽譜ばかりにかじりつかないこともポイントです。
 
第五曲「都会」、これは藤本先生もおっしゃっていましたが、声も表現も表情もすべてに「完全に迫力不足。よしっ、頑張るぞ!という気持ちも大切だよ」。4曲歌い終わって最後の気力が必要です。表情にも強い気持ちを込めたいですね。
 
「都会」は、各作品が強烈な個性を持っていますので、表情も作りやすいかな?と思います。
 
「心と行動は一致する」とも言われています。
それならば、その作品に合った表情をしていくことで、自然に音楽的な表現ができるのではないでしょうか。
 
今回は、勉強だと思ってぜひチャレンジしてみてくださいね。

Comment(0)