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ナチュラルリーダー その選ばれし人

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「ナチュラルリーダー」という言葉があります。
 
生まれついて人の上に立つ素養を持った人のことです。

真のリーダーシップとは、その天性のものと、経験から苦労をして会得したものとが合わさったものなのだと思います。
だから「器」があったとしても、何の工夫も努力もなければリーダーとしては足りないのかもしれません。
 
しかし、「ナチュラルリーダー」は、なぜか若い頃からリーダーに推される。本人が「自分は向かないので」と断っても、なぜか周囲から乞われてリーダーとなってしまう。そしてリーダーとしての経験が積まれ、さらにリーダーシップに厚みと深みが出てくる
 
新年にある方にお会いしました。
 
御年80歳。現在は引退をされていますが、神奈川県にある会社を一部上場企業にまで押し上げた方です。
会食をしながらその半生を静かに語られていました。
 
最初にお勤めになった会社でも、若くして工場長に抜擢されたそうです。
 
次に転職した先でも、すぐに部長から取締役に。
何人かいる取締役の中でも順位があり、その中でも一番低いポジションだったにも関わらず、あるときオーナー社長に呼ばれ「私は引退するから、次期社長をお願いしたい」と言い渡されたそうです。
 
「自分の上には何人も社長候補がいる」ということも考え、「私には向かないのでお断りします」と言ったのだそうです。
しかし、当時の社長は「いやいや、出来る範囲でいいから。」と押し切られてしまいます。
 
「出来る範囲」
 
オーナーは、その器を見抜き、「出来る範囲」が常人を超えることを分かっておっしゃっていたのではないかと思います。この人に任せれば出来るはずだと。
 
オーナーの判断は正しかったのでしょう。
大変な苦労もあったと思います。しかしその後、会社は躍進を続け、神奈川県の小さな食品会社が大きくなり一部上場企業にまで発展したのです。
 
 
年末にも、ある会社の代表の話を聞く機会がありました。
 
「私は、実はマネージャーはやりたくないんですよ。でも、若い頃メーカーに勤めているときも、転職した先でもマネージャーになってしまう。鬼のように厳しい上司と言われながら、なぜか部下からの評価は一番いいんだね。マネージャーに”向いてしまう”んだ。」
 
指揮者の小澤征爾さんも、佐渡裕さんも、とても若い頃から合唱団の指揮者をしていたそうです。
 
なぜか、周囲から乞われてリーダーになってしまう。
ひときわ華やかに目立つというわけでもなく、会えば穏やかで物静か。自分はトップには向かないと思っていたりする。しかし、なぜかその人からリーダーとしての格を感じることがあります。
 
ナチュラルリーダー。選ばれし人。
見抜く方にも力量が求められるのでしょう。
 
こらからの日本、このような方々にもっと活躍いただきたいですね。

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