オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「え」と「い」の発声で口が横に開いていませんか? 日本人は「え」と「い」の発声で損をしている その克服方法

»

歌を歌うとき、日本人独特の不利な発音があります。ほとんどの方がここに気がついてないために損をしているのですね。今日はその克服方法をお教えいたします。
 
2011年12月24日合唱団コール・リバティストに、プロ合唱団でもある東京混声合唱団のテノール歌手秋島先生をお招きしての稽古を行いました。
この日は、特に「え」と「い」の母音に関して詳しくお教えいただきました。
 
欧米の言葉と比較すると、日本語は狭い母音が特徴です。そのために、発音するとき口の中が狭くなってしまい、音が響きにくくなってしまいます。
特に「え」と「い」の母音。
この母音が来るたびに口が横に開き、音質が平べったく変化してしまい聴き苦しくなってしまうのです。そのため、「え」と「い」は日本人が一番苦手とされると言われている母音です。
 
実は、作曲家がオペラの聴かせどころ、クライマックスで使う母音が「e」や「i」です。
 
なぜか。
 
それは、日本語にはないラテン系独特の発声方法を使うと「e」や「i」が一番華やかに響き、高い声も出やすいからです。
 
それでは、なぜそのように響くのか。
 
基本的に、歌うときは喉頭(喉仏)が下がっている状態の方が音が豊に響きます。
 
オペラ歌手のプラシド・ドミンゴやパバロッティなどが歌っているときの口の形を見ると明らかです。
ラテン系の歌手が「e」や「i」を歌っているときの口を見ると、口は十分に開いており、舌の真ん中が持ち上がって、舌の先が少しだけ中に巻き込まれたような状態になっています。そして、舌の両脇は上の奥歯に当たって、がっちりホールドされています。舌は喉につながっているので、舌がつっ かえ棒の役目をし、喉頭がより低い位置で安定するのです。舌が遊んでいると喉頭が緩みやすく、浅い響きになってしまいます。
そして、「i」の母音 になると、さらに奥歯に強く当たってもっとがちっと安定する。さらに鋭く華やかな響きを得られるという利点があります。この方法を使わない手はありません。

それでは、「e」と「i」の発声練習です。

1.基本は「a」の口です。顎が下りてほおが十分のびている状態。舌はのびて下唇の上にさわっています。
 
2,「a~」と発声しながら、舌を少しずつ持ち上げ舌の両脇が上奥歯に当たるようにする。そうるすとだんだんと「e」に変化していく。途中「e」と 聴こえたら舌の動きを止める。
そのとき注意しなければならないのは、下あごが舌と一緒に上がってこないこと。上がるのは舌だけです。

ポイントは「a」から「e」に移行する間を意識すること。徐々に動いていって「e」に到達する。このときの筋肉の動きがとても大事です。
例えば、ものを握るとき「ぐー」と「ぱー」しかないのではなく、ゆるく握っている段階もあるわけです。ロボットでいうと、卵を割れないようにやわらかく持つというのは高度な技術ですね。
発声練習が上手くいっていれば途中で曖昧な母音が聴えるはずですから確認しながら行ってみてください。
 
そして次は「i」です。
「i」は「e」が出来れば簡単にできます。
先ほどの「e」の発声をしながら、下あごを少し上げる。途中「i」と聴こえたら止める。舌が奥歯に挟まれる感じが強くなります。
 
上手くいくと、声が自分から離れたところで響いて聴こえます。
日本語の歌にとっても、ラテン系の「e」と「i」のテクニックを上手に利用できれば大変有利です。応用しながら歌ってみてください。

Comment(2)