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ライフワークとしての学びを考えます。

なぜ音が合っているのにハモらないのか

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一生懸命キーボードで音をとって練習しているけれども、なぜかハモらない。響かない。そういう悩みを持つ合唱団が多いかもしれません。
 
2011年10月29日合唱団コール・リバティストは秋島先生とご一緒しての練習でした。
 
この日は、中田喜直の「海の構図」より「海と蝶」を行いました。
 
なぜハモらないのか?
それは、皆の母音の形が合っていないからです。
 
いくら音程が合っていても「ア~」というところに誰かが「ア"~」(狭い「ア」をイメージしてください)と歌っていると、ハモらないのです。
 
母音は、形によって倍音というものが決まります。
良い音というのは、例えば「ド」ですと、その上にド、ソ、ミ、シ♭・・・・など耳をすますとたくさんの音が響いています。
 
良い音、つまり広い「ア~」というのは、倍音をたくさん持っている。
しかし狭い「ア」である「ア"~」はすごく持っている倍音が少ないのです。
 
響くというのは、持っている倍音同士も響く。これが「響き合う」と言います。
いい音といい声というのは倍音をいっぱい持っていて、それが響き合うから、結果的により豊かな響きになるわけです。
 
さらに言うと、天井の高い「紀尾井ホール」などの空間だと、その音が良い空間にもっと豊かに響く。
ハーモニーが豊かに響くという現象はこういうことを言います。
 
「音程が合っている」+「皆の母音の形が合っている」
 
というこの二つがないと、響かない、ハモらない、ということになってしまいます。
 
耳を良く使って、「どういう母音かな?」と聴くこと。これがコーラスをする上でとても大事なことです。
 
私は、合唱の稽古において、子音を抜いて「母音のみで歌う」トレーニングを良く行います。
子音が入ると、発音上の都合でどうしても母音が狭くなりがちなのです。それはどんなに稽古を積んでいるプロでも多少はあります。だから、まず基本に戻って母音を揃えることをしてから、子音をつけていくと、母音に神経が行き届くようになっていきます。
 
良い母音が響きあうことで、「豊かな響き」が生まれる。
 
ただ歌詞を間違えずに、正しい音程で歌えば豊かに響いて、ハモる、というわけではないのですね。
 
この日は他に、ブストの「Pater noster」、林光の日本抒情歌集より「中国地方の子守歌」、ブストの女声アカペラ「Salve Regina」を行いました。
 
ラテン語のアカペラは特に広い母音が必要です。
母音を追求して、より豊かな響きを楽しみたいですね。

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