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声の響きは「博多どんたく」で

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ヨハン・シュトラウス2世(1825~1899)のオペレッタ(小さなオペラ)に「こうもり」という作品があります。
 
昔の人は、舞踏会などのパーティーで仮面をしながら誰かわからない状態で会話するのが大好きでした。
フランス人でもないのに、シュヴァリエ・シャグランなどという偽名を使って、めちゃくちゃなフランス語で挨拶したり、小間使いなのに、雇い主のドレスを勝手に着て「女優です」と名乗ってみたり。
話の中では、金持ちの銀行家、ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン男爵が、なんと仮面の奥さんを他人と間違えて口説いてしまいます。
仮面をしているので、こんな悪い冗談のような突拍子も無いことが起こってしまうのですね。
 
オペラというといつも主人公が死んでばかりで重たいのですが「こうもり」にはそんな面白い様子が生き生きと描かれていて、観客を大いに楽しませてくれます。

 
8月6日合唱団コール・リバティストに、マエストロをお招きしての練習を行ったのですが、「発声するときは鼻より上で」というお話しがありました。
それが、この歌劇「こうもり」でしている仮面の部分だけで響かせるのだそうです。
 
この仮面、似たようなものが日本でもありますね。
「博多どんたく」のときのお面です。
 
オペラ歌手は、あのお面をしてい部分だけに響きを集めて共鳴させながら歌っています。これは一朝一夕には出来ないもので、だからこそ、訓練した声楽家がすごいのですが、合唱でも出来るだけこの部分の響きを見つけていきたいものです。
 
上の共鳴ができるようになったら、次はお腹です。
お腹の腹式と鼻より上の共鳴がつながると、身体は立派な楽器になっていきます。
ここがみつかると、講演の話し声も変わってきますよ。
 
合唱団でも、午後に行うボイストレーニングの時間で、またじっくり追求していきたいですね。
 
さて、この日は中田喜直作曲の「都会」より「ふりむくな」「子守唄」、山田耕筰作曲、林光編曲「曼珠沙華」、ブストの「O magnum mysterium」を練習しました。
 
「ふりむくな」は、1拍の中に音を5個いれるリズムに苦戦しました。
あわてて早く歌いすぎてしまい、何を言っているのか聴こえないのですね。ここの響きとリズムを作っていくのが課題です。
 
また、中田作品は、各パートが自分の音を取るのが意外と難しいですね。
 
しばらく休んでいて、再び歌うところや、1フレーズ歌い終わって、次のフレーズの音が跳躍していたりすると、どの高さの音を歌っていいのか分からなくなります。空中に放り出されて、上を向いているのか、下を向いているのかわからなくなってしまう状態ですね。
 
そのためには、「頼りにする音」を自分なりに見つけておくと歌いやすくなります。
例えば、歌いだしの直前のピアノ伴奏の音から、自分の歌いだしの音をチェックしておくと確実です。
「他パートの音」を頼りにする方法もありますが、頼りにしていたパートが万が一落ちてしまったり、間違って歌ってしまったりすることは無いともいえませんので、リスクがあります。
中田作品の場合はピアノ伴奏がつきますから、ピアノから取るのが良い方法だと思います。
 
こういう「かっこいい曲」は音取りが結構難しいので、個人で工夫していくと、歌いやすくなってさらにかっこよさが楽しめますよ。
ぜひ、「頼れる音」見つけておいてください。

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