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「クワイア・ボーイズ」 歌は心と心を結ぶ

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近頃、合唱大国イギリスでも聖歌隊に入る男子が少なくて社会問題になっているそうです。
 
そんなイギリス中部の都市レスターの男子校「ランカスター校」に再び歌声が響くようになるまでのドキュメンタリー「クワイア・ボーイズ」。昨年、BS世界のドキュメンタリーで放映されていた録画をあらためて見ました。
 
ランカスター校でも合唱離れが進み、その素晴らしさを教えるために合唱指導者のギャレス・マローン先生がやってきます。
 
生徒たちは、「合唱なんて女の子みたいでやだ!」と言って拒絶。練習時間になってもだれも集まりません。
しかし本番の舞台は、「ロイヤル・アルバート・ホール」(イギリスでも由緒ある名ホール)での演奏です。
「合唱なんてかっこ悪い」と思っている生徒たち。ギャレス先生の孤軍奮闘が始まりました。
 
「オレは音痴だから」となかなか歌ってくれなかった、生徒から尊敬されているスポーツ部顧問の先生まで説得。合唱団に入れてしまいます。
今度は、学校行事の「サマー・ショウ」での舞台で演奏を披露するという目標かかげると、生徒たちが集まりだします。
 
サマー・ショウでの成功体験で生徒たちの目の色が変わりました
ヘンデル作曲の「オンブラ・マイ・フ」などの難しい曲にもチャレンジして基礎的な実力をつけ、ますます上達していきます。
 
ソリスト候補の少年たちの声が素晴らしく、才能の宝庫だと思いました。
とりわけ、ラッパーグループのリーダー、イムランは素質がありました。不良ぶっていて一癖ある性格のためか、なかなか言うことを聞かないのですが、ひとたび真剣になると、人が感動してしまうような演奏をするのです。
 
ギャレス先生の熱血指導もあって、「ロイヤル・アルバート・ホール」での演奏は大成功。
最初は、「合唱なんてかっこ悪い」と言っていた生徒たちでしたが、見事に演奏したあとの達成感と充実感が伝わってきました。
ソリストを務めたイムランも、それまで険しかった表情が、明るく満たされたものに変化していました。
 
このドキュメンタリーを見て、音楽は人を変える力があるのだとあらためて感じています。特に合唱は、自分だけでは音楽はできない。人と協力して心を寄り添わせていかなければならないものです。
 
「歌は人の心と心を結ぶ」
とギャレス先生は言っていました。
 
情報社会、コンピューター社会の現代。つながっているようでいて、実は人のぬくもりが希薄になり、どんどん孤独になっているように感じます。
 
合唱は「世界であなた一人ぼっちではないんだよ」と呼びかけてくれているように思えます。

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