絶対音感がなくても絶対音感があるように音がとれるようになる方法
世界的バリトン歌手のディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(1925年~)は、絶対音感がないことでも知られています。
アルバン・ベルク作曲のオペラ「ヴォツェック」の主役、ヴォツェックを歌ったときは、ほとんど調性がないその音楽を歌うのに、凄まじい努力をしたと思います。フィッシャー・ディースカウが歌ったヴォツェックは完璧でした。
絶対音感がなければ、音楽ができないなどということはありません。ただ、調性がない音楽を演奏するときや、ピアノ曲などの音が多い作品を暗譜するときなどは、絶対音感があったほうがやりやすいということは確かだと思います。
合唱でも、難しい音型のときは苦労しますが、絶対音感はなくても大丈夫です。
どんな人でも、あたかも絶対音感があるように歌えるようになる方法があります。
特に難しいメロディではありませんが、「夏の思い出」を例に、冒頭の「夏が来~れば思い出す~」の部分でやってみましょう。
1、この旋律を歌う同じパートのメンバーでまとまります。横に並んでも、丸くなってもいいです。
2、「なつがくればおもいだす」を一人一音ずつ歌ってリレーしていきます。
3、Aさんが「な」、その横にいるBさんが「つ」、Cさんが「が」、Dさんが「く~」・・・・という具合に。最後の人になったら、またAさんに戻って続けます。ゆっくりのテンポに落としてもいいので、まるで一人の人が歌っているようにつないでいければOK。
4、それができたら、今度は一人ずらしてBさんから「な」、次にCさんが「つ」・・・というようにすると全員がまんべんなく音が取れます。上手になったらテンポをあげてみましょう。
難しくてどうしても歌えないワンフレーズを取り出してやるのには最適な練習です。
人の配置を換えたり、3回くらいずらすと面白いですよ。誰かが落ちてしまったりすると、盛り上がります。
さっきまで音がとれなくて眉間にしわを寄せていたメンバーが、たちまち笑顔になってしまう練習です。
音を丁寧につないでいく合唱の基本的なトレーニングになるし、チームワークを作るのにも良い方法ですよ。
これをすると、不思議と絶対音感があるみたいに音程が正確になるんです。
ゲームみたいな感覚でやってみてくださいね。