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ライフワークとしての音楽を考えていきます

忘れていいのです! 「忘れスイッチ」を押そう

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たまに、ある日本料理店のサービスを頼まれることがあります。
音楽をしている人がなぜ?とお思いになられるかもしれません。
そこのシェフとご縁があり、人手の足りないときに呼んでいただけます。
 
店は駅から離れたところにあり、大きな看板もありません。全個室。予約制。メニューなしでお任せのみ。
 
お店に入ってまずすることは、その日のメニューと食材を覚えること。
和食の店だけに、聞いたこともないキノコや山菜の名前がズラリ。
そして、食前酒、日本酒やワインも一通り。
「シェフの出身地の地酒でございます。」など、ちょっとした説明で、「おお~、私もそこの出身なんだヨ」とお客さまと話がはずむこともあります。
 
さあ、そろそろお客さまがいらっしゃる時間となり、髪を上げて和服を着ると、もう日常のことは全て忘れます。個室、全て私一人で仕切るので気合も入りますし、「今日のお客さまはどんな方だろう」とワクワクと胸がたかなる瞬間です。
これから、一瞬たりとも他のことが入り込むスキがないほどの時間が訪れます。
 
基本的に、サービスと人が好きな性分のようです。
「本当に美味しかった。ありがとう」とおっしゃってくださり、お客さまの笑みを見ると、「なんてステキな仕事なんだろう」と充実した気持ちで心が満たされます。
 
そして、終わったとき気が付きます。
 
「あれ?さっきまで考えていたあのことはどうしたんだろう?」
不思議なことなのですが、それまでは、「ああでもない」「こうでもない」と思っていたことを一瞬でもきれいさっぱり忘れることで、新しい考えがわきあがってくるのです。
ここでの仕事は私にとって「忘れスイッチ」にもなっているのです。
 
そこのシェフ、もうすでに20冊もの本を出していますが、同じレシピは二つとありません。
「どうしたらそんなに本が出せるんですか」と一度聞いたことがあります。
 
そうしたらシェフ、「忘れること」と一言。
 
「一年前の本を見直してみると”あれ、こんなレシピあったっけ?美味しそうだから作ってみよう”と思ってしまうほど。本当にすっかり忘れてる。忘れることをしないと、新しいアイデアが入ってこない。」
 
なるほどと思いました。
「忘れること」も大事な力なんですね。

Comment(2)

コメント

人手のないときに呼ばれるなんて、すごいですねー。面白い。

あと、そのシェフの方は、永井さんをとても信頼していらっしゃるんでしょうね。

直子さん
とても面白いです。シェフの独創的な料理を見ていると感性が刺激されます。でも、私を使うなんてユニークな方ですよね~!

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