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フランス料理・恵比寿「マッシュルーム」山岡昌治シェフに聞く【第一回】料理の鉄人出演、そしてキノコ!キノコ!キノコ!

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恵比寿「マッシュルーム」フレンチシェフ・山岡昌治さんのインタビュー。
己の道とは?天才のアイデアの秘密とは?グローバルな体験から得たプロフェッショナルへの方法論、なぜ教えるのか?など、本日から5回にわたっての連載で、その魅力に迫り、生きるためのヒントを得たいと思います。

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「料理で競い合いたくないんですよ」
 
山岡シェフは、今や外国で再放映されるほどの有名料理番組「料理の鉄人」からの出演依頼を一度は断りました。
 
そして2年後・・・。
「キノコがテーマなのです。どうしても出てほしい。」
そう言われての出演。イタリアンの鉄人「リストランテ・マッサ」の神戸勝彦シェフとのジャンボマッシュルーム対決でした。
 
山岡シェフはオーナーシェフを務める自らの店に「マッシュルーム」と名づけるほどキノコにこだわりを持つ料理人。キノコがテーマとなれば白羽の矢が立つのは当然であったことでしょう。
 
持ち時間1時間の中で5品を作り、5人の審査員の採点によって勝敗を決めるという内容。かなりのスピードが要求されます。山岡シェフは、当時店で「表(おもて=サービス)」もやっていて常時厨房100%ではなかったため、身体が動かないのでは、という不安もあったそうです。
しかし、「料理人同士が1時間で作りあうことはない。貴重な体験になる。面白そうだ。」と出演を決めました。
 
1時間で5品。これはかなり難しいことです。そして、実際の収録では事前の仕込みもなしでいきなり本番。「本当に1時間」でした。
スタートしたら予想外のことが続出。燻製をやるはずが燻製チップが手違いで用意されていないことが分かり、急遽乾燥キノコを燻して使用。気がつくと揚げ物油がすでに鍋のふちまで一杯になっており、移す時間もなく派手にあふれさせながら揚げる。リドボー(子牛の胸腺)は普通湯がいてから使用するはずが、これも時間がなく生のままで調理しなくてはならずツルツルすべる。アイスクリームは回しすぎで抜けなくなり、わざわざ削って再度ホイップでかき回したり・・・。
 
緊張感と何が起こるかわからない意外性。あの臨場感は本物だったというわけです。
 
結果、僅差で鉄人の勝利となりましたが、今YouTubeでアップされている録画を見ても、1時間であれだけ手の込んだ料理を作った山岡シェフの腕はすごいと思いました。
「鉄人出演は面白かったですよ」と山岡シェフは言います。

Chef03
 
しかし、なぜここまでキノコにこだわるのでしょうか。
 
「フランスから帰って、山に行って、ビギナーズラックで幻のキノコを採ってしまったんです。最初の体験が面白かった。それが自分の求めている楽しさと一致したのですね。本当に脳みそから楽しいって思えることと出会ったという感じです。」
 
キノコの魅力とは、何か得体の知れないミステリアスなところにあるそうです。
 
「何もないところにいきなり現れて、何日かたったらまた消えている」その不思議さ。
そして、現在あるキノコのうち、3分の1しか名前がないほど、未だによくわからない部分も多いのです。
 
もう一つの魅力は「キノコがきっかけで自然の中に入っていく楽しさ」にあると言います。
 
ハードな仕事の連続で週一日しか休みもない。眠くて睡眠不足でもわざわざ早起きして山に入るという山岡シェフ。
もう6月にもなろうという今の時期は、そろそろキノコが生え出してきています。毎年見ているポイントが気になって仕方ないそうです。
 
「料理の仕事とキノコは、自分でもびっくりするぐらい長続きしている」
 
生涯をかけて夢中になれるものに出会ったのですね。
 
ある有名料理評論家から「季節性が強いキノコに特化すると他の季節の営業が大変。特徴が強すぎると店舗展開も難しい。早く普通のレストランにしなさい」とアドバイスを受けましたが、変えませんでした。
「競争が激しい東京の恵比寿でここまで残ってやってこれたのはキノコという特徴があったおかげ」と山岡シェフは言い切ります。
 
「その人でなければできないこと」は、いきなり大勢の人が認めることはなくとも、根強いファンや熱心な理解者が現れるということなのです。
 
次回は、その料理についてのお話をお伝えしたいと思います。

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