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「自分は何をしたらいいの?」 自分の才能を発見する方法とは

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類稀なる才能とは、他人に指摘されて分かることが多いようです。
 
例えば、建築家の安藤忠雄さん。

彼が初めて作った住宅、「住吉の長屋」は、三軒長屋だったところの真ん中に中庭が作られています。そして、全く窓のない壁で覆って外部の騒音をシャットアウトし、光や風などは中庭から取り入れます。そのため、住み手は雨の日などは傘をさしながらこの中庭を移動しなければなりません。安藤さんは「四季を感じ、住み手に豊かさを与えるこの中庭こそ、この家の心臓である」と考えました。
 
住みにくいことこの上なく、利便性こそ住宅の基本という概念の逆をいく、大胆不敵に理想型を追い求めた形です。元ボクサーの安藤さんらしい「闘う建築」。
 
しかし、人のやらないことは、必ず抵抗というリスクがあるのです。
作った当時は相当批判を受けました。
 
しかし、その才能を認め、応援する人々もいました。
 
建築界の巨人といわれる村野藤吾。
「この建築は悪くはない。建築家ではなく、がんばっている住み手の勇気に賞を与えるべきだろう」
 
建築評論家の伊藤ていじ。
「小さくても強く、勇気ある建築をつくる若者がいる」と朝日新聞で紹介。
 
そして「この人に写真を撮ってもらえたら一流」といわれる建築写真家の二川幸夫。
「面白い。がんばれ。これからお前がつくる建築は全部写す。そのうち作品集を作ってやる。建築は独創性と勇気だ。全力でやりきれ」
 
安藤さんは、「グレート安藤」のリングネームでボクサーとしても活躍していたことがあり、ファイティング原田の練習をみて、その才能に圧倒されてボクサーを諦めたといいます。
そして独学で建築の道に進みます。大学で専門的な建築の勉強をしていないのに短期間でここまでの力を発揮するとは、よほど向いていたのでしょう。ボクシングより建築にその才能を開花させたのですね。
しかし、安藤さんの基本は、やはり闘魂だと思います。
私は、安藤建築を見ると、ロングヘアーの影からギラリとした瞳をのぞかせファイティング・ポーズをとる安藤さんの姿をイメージしてしまうのです。
 
本人の努力も必要ですが、その才能を見抜いた人々がいたこと。有名な写真家や新聞が後押しをして仕掛けたことも幸運であったかもしれません。
そして、当時革命的であった初めての作品「住吉の長屋」を理解し、そのまま35年間今も住み続けている住み手の東さん。安藤さんは東さんに対して「絶対に足を向けて寝られない」と言っています。
 
私は、「才能とは外の人が見てもわかるもの」であると思っています。
 
自分を開き、それに向かって行動していれば人が気づきます。必要とされるときがくると信じています。絶対に諦めないでほしいと思います。

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