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ライフワークとしての学びを考えます。

間違えるリスクに対して準備をしているのがプロフェッショナル

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合唱の演奏会だったと思います。指揮者がプログラムの順番を勘違いしておられて、ヒヤリとしたことがありました。
 
その時はたまたまアカペラ(伴奏なし)で開始する曲でしたが、違う曲をイメージされていたのでしょう。前奏で私が弾くものとばかり思われてピアノに向かって指揮を始めようとなさっていました。その様子を察知し、目で合図をしたところ気づいてくださり、事なきを得たのです。経験豊かな素晴らしい指揮者でしたが、こんなことってあるのですね。
 
特に、短い小品を並べたプログラムのときは、勘違いがおきやすいのは確かです。まだ音の出ない指揮者ならリスクは低いのですが、万が一ピアニストが違う曲の前奏を弾き出してしまったら・・・怖いですね。
 
私の場合、小品集のときはプログラム順に譜面を綴じて準備しています。つまり、本番用の譜面を手作りするということですね。
そうすれば、めくっていけばその通り。順番だけは間違えることはありません。
既製の立派な譜面があるのに、わざわざ作るのは面倒かもしれませんが、間違いのリスクの高さを考えるとこの方が良いのです。
 
舞台は神もいれば魔物もいる。
普段より緊張して、テンションが上がっているのだから、何が起きるかわかりません。
 
昨日の記事でも書きましたが、声楽は特に歌詞を忘れやすいのです。
リサイタルの場合、舞台の上は声楽家と伴奏ピアニスト二人だけ。オペラのように歌詞の案内人(プロンプター)がついているわけではありません。もう間違えでしまったらそこまで。
 
ある知り合いのバリトン歌手は、1時間半のリサイタルで、ドイツ語とイタリア語の歌詞をほぼ完璧に歌いきりました。しかし、アンコールで歌った、母国語である日本語の曲で、こともあろうに歌詞が飛んでしまったのです。よほどあわてたのでしょう。とっても良い声で「あっ、すみません!」と思わず言っていました。きっと母国語で安心していたのでしょうね。
 
指揮者の山田一雄さんは、ベートーヴェンの「田園」と「運命」のコンサートを行うとき、プログラムの最初は穏やかな「田園」のはずなのに、激しい「運命」を振り始めてしまったという、有名な話があります。
 
山田先生の様子を見ていたオーケストラのメンバーは、心得たもので直ぐに察知。落ち着いて「田園」を演奏したそうです。山田先生も人間なのですね。こういう話を聞くとちょっとほっとします。
 
しかし、このような間違いは結構あるのではないかと思っています。
 
ただ、「そのときどうする」を一応イメージしておくことが必要だと思います。
 
特に、生ものを扱うライブは、演奏会でもプレゼンテーションでも何が起こるかわかるないところが面白く、またリスクがあるからこそ想像以上の結果が出たりするものですが、「そのとき」をできるだけ準備しておければいいですね。

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