歌詞に自信のないときピンチの切り抜け方
北原白秋の詩、山田耕筰作曲「待ちぼうけ」という曲は有名ですね。
作曲家の林光さん(1931年~)が混声合唱用に編曲した「日本叙情歌集」の中に、この「待ちぼうけ」も含まれています。
2011年5月7日合唱団コール・リバティストに、東京混声合唱団のテノール歌手志村先生をお招きしての練習を行いました。
東京混声合唱団は、林光さんの「日本叙情歌集」を、作曲家の林さん自らの指揮とピアノでの演奏を行うことで有名で、全曲のCDも出しているほどです。
私たちは、親しみをこめてこの合唱団のことを「東混(トーコン)」と呼んでいます。
東混メンバーの先生は、皆この叙情歌集を林さんから直接指揮してもらっているため、どうやってこの曲を演奏したらよいか、表現から演奏上のコツからすべて知り尽くしています。
だから私たちは、雲の上のような存在の作曲家の言葉を受けて練習ができているというわけですね。なんと贅沢なことだろうと思います。
「待ちぼうけ」はもともと思想書の一つ『韓非子』の中にある説話「守株待兔」(しゅしゅたいと、くひぜをまもりてうさぎをまつ)からきています。
田んぼの切り株に、ある日ウサギがぶつかり首の骨を折って死にます。そのウサギを持ち帰ってごちそうにありついた百姓は、次の日から畑仕事をやめてウサギが来ないかと待っていたけれど、二度と来ず、稲は実らなかった。というお話しです。
偶然を当てにして楽して金儲けをしようと思うな、というような教えが含まれているものと思います。
この曲、歌詞が5番まであります。1番は「待ちぼうけ 待ちぼうけ ある日せっせと、野良稼ぎ そこに兔がとんで出て ころりころげた 木のねっこ」という有名な歌詞で皆さんよく知っていると思います。
しかし、2番以降がなかなか覚えられない。
特に、3番の「うまい 切り株」と、4番の「ウサギ 待ち待ち」が同じ「ウ」の母音で始まることから間違えやすいのです。
下手をすると3番で「ウサギ 切り株」と言ってしまいそうです。
それを上手く切り抜けるワザを教えてもらいました。
自信のないとき3番でなるべく「S」の子音を思い切って言わないようにすること。言ってしまったらおしまいです。
ちょっとずるいかもしれませんが「う・あい」と流します。そうすれば4番は堂々と「S」を言えるのです。本当はきちんと言えたほうがいいに決まっていますが、やはり人間ですから。大失敗するよりはマシです。
こういうちょっとしたワザを使いながら、ピンチを切り抜けていくわけですね。
しかし、昔からウサギは美味しいのでしょうね。
今は丸々とした巨大食用ウサギも飼育されているようです。