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ライフワークとしての音楽を考えていきます

一人ぼっちではないんだよ

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大震災により首都圏でも心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病が増えているといいます。
 
一日中流されている被災地の鮮明な映像や情報を、テレビやインターネットで見ていることで大きく影響を受けてしまうのだそうです。
 
最近、他の合唱団指導者の先生と話していたところ、落ち込んでしまい練習に出て来られなくなる団員さんもいると聞きました。
私も、震災から数日は家にる生活が続き、知らないうちに気持ちが後ろ向きになってしまっていたので良く分かります。
 
私が代表をしている合唱団も、演奏会を控えたところでの震災でした。
大事な時期に稽古の中止。
計画停電や交通機関のストップ。
演奏会を延期するか、開催するか、決断を迫られました。
 
しかし、団員さんから
「演奏会を行ってほしい」
「チケットを追加したい」
「皆と早く声を合わせたい」
「一人で歌っていてもつまらない」
というメールが次々と送られてきました。
 
そして、震災後初めての稽古では、ほとんどの人が参加したのです。
 
周囲は、中止や無期延期ばかりの中、開催する方針をかためました。
 
そうなると、腹が据わり、サウンドが変わってきました。
練習中はいつものように笑顔が見られるのですが、以前と違う何か決意のようなものが音から感じられます。
 
やはり練習不足からくる、暗譜のあやふやさなどは多少感じます。
しかしこの正念場、演奏会を乗り越えれば、これから良くなるかもしれない、と思いました。
 
練習前は緊張した表情だったのが、終わったら、疲れはあるけれどすっきりとしたいい顔をしているのが印象的でした。
それぞれが、少しずつ傷ついていたはずです。でも、美しいもの、好きなもの、合唱、仲間・・・心の豊かさを求めて、希望を持って来てくれたんだと思います。
 
 
2011年1月26日に「音楽には人を変えてしまう力がある」という記事を書きました。
 
2008年、ガザ地区にイスラエル軍の攻撃があり、子どもたちが大きな心の傷を受けてしまいます。その一人だったマハムード君は、伝統楽器カーヌーンを始めることによって、心が回復していくのです。
 
また、老人ホームで音楽のボランティア活動をしたときのこと。「赤とんぼ」を皆で合唱すると常に無表情だった方がポロポロと涙を流しながら歌ってくれたこともありました。
 
 
音楽は、演奏を通し自分を表現することで、心に良い影響があるのだと思います。
下手でもいいのです。
自分を開いて、美しい瞬間を皆で分かち合う。
 
思い切って出てきて皆で音楽をしよう。
一人ぼっちではない。私たちは待っていることを信じてほしい。

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