オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

「引っ張り上手は歌上手」 意外な発声筋トレ法

»

声は声帯が出しているのですが、声帯自体は鍛えられません。
それでは、良い声を出すために、どこを鍛えればよいのでしょうか?
 
2011年2月26日、合唱団コール・リバティストに、プロ合唱団東混のテノール歌手大貫先生をお招きしての稽古を行いました。
 
声を出すときに、よく聴くと「ヒャー、ヒャー」と息が漏れたような音がする場合があります。
 
これは声帯がきちんとくっていていない状態。こうなると息が持たないし、続けると声帯はどんどん痛んでしまいます。
本来、声帯は、きちんとくっついていればどこからも息が漏れない構造になっています。
 
先生は、声帯の状態を輪ゴムで示してくださいました。
 
二本の輪ゴムを引っ張ると輪ゴムは隙間なくくっつきます。
声を出すとき、この引っ張っている筋肉以外、驚くほど使いません。
 
だから、発声のためには『声帯を引っ張る筋肉』を鍛えればいいわけです。
 
発声は「ア」の母音をのばしながら、地の声を使い明るい音色でトレーニングします。
このとき、ちょっと浅いかな?と思う声で良いのです。最終的には深さは必要ですが、最初から深さを追求しなくても大丈夫です。何を差し置いても、明るいところ。これを心がけてください。
 
声帯は引っ張る位置が肝心です。なるべく高い位置で引っ張ること。そのためには、奥歯の上下をよく開けて、「ハッと息を吸ったときに喉の後ろに感じる涼しい一点」に意識を持っていって歌います。これより前で歌わないように。
 
高い音ばかりではなく、まんべんなく低い音域の練習もしましょう。
低い音域でも声帯を上手に引っ張ることができなければならないからです。
 
高い音域は強く引っ張る。
低い音域はゆるめて弱く引っ張る。
歌は、この両方の所作がいるのです。
 
「高い声が出るようになると低い音域も広がる」と言われています。
まさにその通りで、引っ張り方が上手になれば歌も上手になるというわけですね。
 
高い声で強く声帯を引っ張る練習も必要です。
 
この場合、裏声を使います。
女声は普通に裏声が出せますが、男声の場合は人工的につくらなければなりません。
カウンターテナーと言われている、男声で超高音域を歌う歌手(米良美一さんやスラヴァさんが有名)がいますが、その方々が鍛えている場所です。
 
これも、息が漏れないように、筋肉が緩まないように、注意しながら発声します。
 
最後は全ての音域のミックス。
これは歌手が一生かけて研究していくところです。
「オ」の母音で上昇し、「イ」の母音で下降する練習をしました。
 
漠然と声を出して「あらら、こんな声が出ちゃった」では、なかなか上達しにくいものです。
 
「声帯を引っ張る」ことを意識することが上達のためには大事なことなのですね。

Comment(0)