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クラッシックのピアニストは当時のスターでもあった

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作曲家でピアニストであるフランツ・リスト(1811年~1886年)は今年生誕200年になるそうです。
 
リストといえば、超絶技巧のピアノ作品が有名ですね。
技巧ばかりが一人歩きしているような印象のリストですが、ロ短調ソナタや、巡礼の年など、壮大なスケールで深い内容に満ちた作品も多く作曲しています。
 
私にとって、ピアノを弾く本当の楽しさや喜びを教えてくれたのはリストでした。
リストの作品は、楽器の性能を知り尽くした人だけが書くことができるイマジネーションにあふれています。「楽器が喜んで鳴り出す」というこの感覚は他の作曲家にはみられないのではないでしょうか。
 
手が大きかったリストは、オクターブという広い音域を一気におさえるテクニックを多用するせいか、手が小さいピアニストには演奏しにくいところがあり、どうしても弾けない人もいます。
そんなところもピアニストにとって特別な思いを抱かせてくれます。
 
楽器が華やかに鳴り、強烈なテクニックを用いた演奏は、当時の聴衆を興奮させずにはいられませんでした。
まだロックなどない時代。
リストはロックスターのような存在だったのです。
 
日経新聞2011年1月6日の入門講座にてリストの記事が掲載されていました。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
リストの人生は恋愛遍歴に彩られていた。政治家や富豪の夫人・令嬢のみならず、娼婦や踊り子に至るまで、あらゆる階層の女性を相手に、数多くの情事を繰り返したのである。そんなスキャンダラスな生き方もまたロックスターの先駆けともいえるだろう。
(中略)
リストは文学や美術に造詣が深いばかりでなく、サン=シモンの社会主義的な思想に共鳴し、芸術家の社会的使命を誰よりも強く自覚するという一面も持っていた。さらには宗教的な情熱家で、晩年には僧職者にも叙任されるほどだった。人気スターというよりはスケールの大きな思想家と呼んだほうがふさわしいだろう。
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

波乱万丈な人生を歩んだあと、いきなりの僧侶となってしまうリスト。
華やかな演奏効果だけを追及したような曲も多いのですが、その反面、技術だけではどうしても表現しきれない哲学的な深みを持った曲を書いたのもうなずけるのです。
 
俗的な部分と、神格的な部分、この相反する二つの矛盾に満ちている音楽は、一生追求してもしきれない魅力に満ちています。

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