ゆっくり弾けば上手くなる
ピアノほど弾きこなすことが難しい楽器はない、と言われています。
そのため、人々はピアノを上手に弾くことを夢見て、そのための教材から著書から、はたまた指の強化器具まで、様々な研究がなされてきました。
例えば、ピアニスト志望だった作曲家のシューマン。
右手の中指を壁に固定した紐で吊り下げ、他の四本の指が弾いている間中指がつられて動かないようにしました。
しかし、あまりに熱心にそのトレーニングを続けたために、中指が麻痺して動かなくなってしまったのです。
そのため、シューマンはピアニストの道を断念しなければなりませんでした。
シューマンのピアノ曲は、いかにもピアニスト志望だった作曲家が書いているという感じがします。
やはり技術的に難易度の高いものが多いかもしれません。
私は器具を使用したトレーニングは今まで一度も行ったことがありません。
だから、生徒にも勧めることがないのです。
小学生のコンクールを見に行ったとき、出演前のウォーミングアップも兼ねてなのでしょうか、ロビーで指に重りのようなものをはめて、指を動かしている子供を見て、「すごいなあ」と素直に感心してしまいました。
「全く努力しないでも上手になりたい」というのは少し難しいと思いますが、もし最小の努力で上手になる方法があるとしたら、次の方法をすすめます。
ゆっくり確実に弾く
ピアノという楽器の特徴からスピード感のある音楽も多いのですが、あまりにも最初から仕上げのテンポで弾く人が多いと思います。
そうすると間違えては弾きなおしの繰り返し。続けるとそのパターンを身体が覚えてしまいます。
まずはゆっくりと、筋肉に正しい動きを覚えさせるように。正しく弾けるテンポまで落としてください。
ゆっくりが確実に弾ければ、早いテンポはそう難しくありません。
ゴルフの宮里藍さんが、ものすごくゆっくりとスイングの練習をしているのを見たことがあります。ゆっくりと正しい動きを覚えさせる。スポーツも同じですね。
そして当たり前かもしれませんが、ピアノは両手です。
いずれも、部分を取り出して片手で行うことも忘れないでください。
だれしもすぐに上手に弾けるようになりたいものです。
しかし、意外にゆっくり弾くことは効果がありますので試してみてくださいね。