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ピアニストにとって怖い曲とは

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ドイツの作曲家、ロベルト・シューマン(1810年~1856年)。
ピアノ曲のトロイメライやピアノ協奏曲イ短調、歌曲「詩人の恋」「女の愛と生涯」などが有名です。
ロマンティックかつ文学的な作風が特徴だと思います。
 
シューマンの曲は、インスピレーションが「ふっ・・・」とわいたときに書きとめたような小品に感動してしまいます。
文学的な要素である詩と音楽が融合した歌曲は、シューマンの真骨頂ではないでしょうか。
 
シューマンは、持病のせいもあり、晩年になればなるほど精神状態が不安定になっていきました。自殺未遂、そして最後はとうとう自らの命を絶ってしまうほどに崩壊していったのです。
後期の作品などを見ると、その影響が音楽に大きく出ていることを感じさせます。
 
例えば、構築的な力を必要とする大作などは、あまりに自由に書かれていて、ブツブツと独り言を繰り返すように同じ旋律がぐるぐるとめぐり続けたり、深刻になっていたかと思うと唐突に笑い出したりするような場面もあるのです。
 
それゆえ、20分~30分もかかるような大曲は暗譜が難しいことで有名です。
 
ピアノ協奏曲イ短調は、作品自体は晩年ではないし、ロマンティックでシューマン独特の情熱のほとばしりが感じられる素晴らしい作品だと思いますが、第3楽章に関しては少しだけその傾向が感じられます。
 
同じメロディの繰り返しが多く、そして何回目かに繰り返したときは最初とちょっと違って書かれている、ということもあり、かつスピード感のある音楽なので、しっかり暗譜していないと事故がおきやすい曲の筆頭にあげられると思います。
 
あるコンクールの本選で、シューマンのピアノ協奏曲を選んだ人がいました。
才能豊かな人でしたので、皆が一位をとるのではないかとうわさをしていたのです。
しかし、第3楽章。
同じ旋律を繰り返しているところで、一体どこを弾いているのか分からなくなってしまったのでしょう。
言葉のとおり「お手上げ」。
「もうだめだ・・・!」と両手を上げてしまいました。
 
周囲に期待されての舞台。大変なプレッシャーと緊張の中での演奏だったと思います。
 
協奏曲というのは100人くらいのオーケストラと一緒に演奏します。
全部を一旦止めるというのは大事故です。
指揮者が譜面を見せて、事故の起きた少し前の箇所から全体が演奏しなおしました。
 
その間、見ているだけで心臓がバクバクしてしまい、脂汗が流れました。
こういう経験はあまりしたくはないですね。
 
それ以降、シューマンの協奏曲のライブでは手にじっとりと汗が出てしまうようになりました。
 
短編が得意な作家と長編が得意な作家がいるように、作曲家にもそれぞれ個性があるように思えます。
 
音だけではなく、そういった面から音楽聴くのもまた楽しいかもしれませんね。

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