「声が落ちている」ってどういうこと? 発声で必要なのは鼻より上のポイントです
歌や合唱の練習で指導者から「ショボい~!クライ~!声を前に出して~!」と言われることってありませんか?
この「前に出して」なのですが、大きな声をはりあげるというように勘違いしているケースがよくあるかな?と思います。
2010年11月27日、合唱団コール・リバティストでは、マエストロをお招きしての稽古を行いました。
この日は、山田耕筰作曲、増田順平編曲の「からたちの花」、ルネサンス時代の作曲家、ウィリアム・バード(1540年~1623年)の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、ヴィクトリア(1540年~1613年)の「アヴェ・マリア」、高田三郎作曲「水のいのち」より「雨」と「川」、林光編曲の「日本叙情歌曲集」より「かやの木山の」と「箱根八里」「浜辺の歌」を練習しました。
「からたちの花」は、林光さんの編曲もあるのですが、今回はこの曲のみ増田順平さんの編曲で歌います。拍子が変わるので、なれるまで歌いにくいかもしれませんが、キレイな編曲です。ぞくぞくするような和音を使ってスローな音楽を最後まで引っ張り、飽きさせないですよね。
しっとりしていて弱い音の多い曲でも、もちろん、パンチが効いていてイケイケの曲でも、声はしょんぼりさせたくないんですよね。
弱い音だからって、「落ちた声」(って私たちは言います)では、オーディエンスに届かないんです。
じゃあ、「声が落ちてる」って何?
本来、発声には声を出すポイントがあって、鼻より上で声を出すイメージなんです。
もちろん、物理的に声帯は鼻より上にあるわけはないので、ほんとうにイメージの話です。
そのポイントより落ちたところで発声しているのが「落ちた声」というわけです。
声が落ちていない人は、鼻より上のところで声がビンビン響いています。
声楽をしている人の歌を生で近くで聴くとよく分かりますよ。
でも、最初から上で発声できる人ってほとんどいないんです。
自分では出来ているように聴こえてしまうものですが、一度自分の声を録音してみるとよく分かります。
本当に「イメージと違います」から!
これが他人に聴こえている声なんです。
私も「歌はもうやめよう」と思うほど、最初はかなり落ち込みました・・・。
でも、自分の声を客観的に知り、それを意識し始めることからが第一歩です。
マエストロがよく言っていますが、
「机にね、上の歯を乗せて、あごより下ははずす感じで!
あごより下はいらないから!」
それほど、上のポイントで歌うことは大事なことなんですね。
歌で一番大事なことはもう、これに尽きると思います。
声のポイントが上に来ることを一度覚えれば、だいたいロストすることはなくなります。軽~く出していても明るく遠くまで響き、他人が聴いてても心地よい声になっていきますよ。