テンポの動かし方「プラマイゼロの法則」 日本人だからこそ感じる日本語の奥ゆかしさ
山田耕筰作曲の「からたちの花」。
「からたちの花が咲いたよ 白い白い花がさいたよ・・・」と歌う日本歌曲の名曲ですね。
2010年12月4日合唱団コールリバティストに、東京混声合唱団テノール歌手の秋島先生をお招きして「からたちの花」の練習を行いました。
この日は他に、ウィリアム・バードの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。それと高田三郎作曲「水のいのち」より「水たまり」を歌いました。
「からたちの花」は、「からたちの花が咲いたよ」という歌詞で始まります。
ただ単に「花が咲いたよ」、「お風呂がわいたよ」、「ごはんができたよ」というような教えてあげる意味ではありません。
秋島先生は、「"花が咲いたよ"ということに感動を覚えている、ということを表現してください」とおっしゃいます。
作家は子供の頃、辛い時期をすごしたことがあり、よく裏庭に咲いたからたちの花を見ていたそうです。
その疲れた心に白い花が染み入ってきたときの感情がわきあがってきたのかもしれません。
ただ「咲いたよ」とだけ言っている。
しかし、それは「悲しいこと」かもしれませんし、「嬉しい」ことかもしれません。
ことばは全てを語っていないけれど、「ああ、健気に咲いてるなぁ・・」という、そんな気持ちがあることをくみとって歌いたいですね。
日本人が日本語で歌うときにも、深く奥ゆかしいその背後にある意味を感じとって表現していかなくてはならないのです。
そしてこの日本語の意味を理解することで、テンポ感も決まってきます。
感情が高ぶってくれば少し前のめりに速くし、落ち着いてくればゆっくりしていく。
もう少し分かりやすい説明をすると、楽譜に書いてある強弱記号も参考になります。
全てあてはまるわけではありませんが、だいたいにおいてクレッシェンド(だんだん強く)のときは速めに。ディミヌエンド(だんだん弱く)のときはゆっくりに。
テンポをゆらすときの法則があります。
「プラマイゼロの法則」です。
速くしたらゆっくりにして戻す。この繰り返しを行うことで、最終的に全曲通してのテンポはほぼ同じになる、というわけです。
このような曲を演奏することにおいて、テンポをゆらすことは必要不可欠なのですが、ゆらし方を間違えると、間のびした音楽になってしまいます。
このテンポ「プラマイゼロの法則」。
参考にしてみてくださいね。