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ライフワークとしての学びを考えます。

ここ一番のときまでに人前で何度恥をかいているかが大事 どんどん人前に出てみることが上達への一番の早道

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演奏でも何でも、上手になる方法というのは練習するほかに、もう一つ大事なことがあります。
これがないと、いくら練習室で何百回何千回やっていても上達しないのです。
 
 
2010年12月18日、合唱団コール・リバティストではマエストロをお招きしての練習を行いました。
 
この日は、高田三郎作曲の「水のいのち」より「水たまり」「海よ」、山田耕筰作曲、増田順平編曲「からたちの花」、バード作曲「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、ビクトリア作曲「アヴェ・マリア」を練習しました。
 
練習の最後にマエストロがおっしゃいました。
 
「皆さん、演奏会いつか分かってますか?本番しっかりやりますよ。今のレヴェルで最高のものをやります。」
 
「今は譜面を読んでいるところだけど、これから情感を入れていかなくてはなりません。もっとしっかりしてください。自分がダメだと思わないでください。」
 
「とにかく本番を重ねることが一番大事なんです。
ボクはプロ合唱団時代、"初見、振り付け、暗譜"というのをやったことがあります。
朝4時に楽譜を渡されてバスで岐阜まで行きます。バスの中で暗譜して振り付けも覚える。そしてそのまま本番です。
学校の子供たちに"あの人違うね"とか指をさされます。汗がダーッと流れる。
そのくらいやってほしいんです。
本番を恐れないで。」
 
「ホールも取っている。ホールを取るってすごいことですよ。お客さんも来ますから。」 
定期演奏会やリサイタルというのは、一番気合の入った演奏会ということです。
プロのオーケストラにとっても、定期演奏会というのは絶対に失敗できない演奏会なのです。
お客さんは「この演奏家の最高の状態が聴ける」と思ってホールに足を運びます。
 
そのためには何度かの舞台をふむことが必要です。
 
以前、ピアノ科の先輩が久しぶりに演奏会に出演するということでサポートしたことがあります。
演奏が終わり、理想どおりにいかなかったのでしょう。
 
「もう二度とやりたくない」
と落ち込んでいます。
 
先生は彼女に言いました。
「あなた、今日の前に何回人前で弾いたの?初めてなんでしょう?上手くいくわけないよ。一回目は上手くいかなくて当たり前。一人で一生懸命練習したのはよく分かるけど。私なんて、リサイタルの前は最低でも同じ曲を6回は人に聴いてもらうよ。」
 
それであの高いレヴェルの演奏を維持なさっているのですね。
 
いくら上手な人でも、ここ一番の前は何度も人前で「恥をかいている」のです。
 
最終的には良い演奏をして、お客さんに喜んでもらうこと。そこまで押し上げていきたいですね。

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