丹田を意識する発声方法
丹田を意識して発声するように、とよく言われます。
発声に関しての丹田とは、「下丹田」のことをいうのではないかと思います。
おへそから指三本くらい下のところにある場所です。
倒れそうになるところを我慢する場所というと分かりやすいでしょうか。
私たちが行っている発声とは、もともと西洋文化を基本とするのですが、これに東洋的な考え方を取りれているのは日本人らしいやり方だと思います。
12月11日合唱団コール・リバティストに、東混のバス歌手佐々木武彦先生をお招きしての練習を行いました。
佐々木先生は、発声には丹田を中心とした深い呼吸が必要だとおっしゃいます。
静かに息を吸ったりはいたりする練習をしました。
ポイントは、丹田の裏あたりに意識を向けると良いと思います。
声を出すときに必要なのは表面的な腹筋ではなく、体の深層部にある筋肉です。
これは、呼吸法によって鍛えられていきます。
体を緩めながら、ゆっくりと、なるべくたくさんの空気を呼吸してください。
また、腕や肩のストレッチも行いました。
歌なのになぜ腕や肩のストレッチが必要なのか?
例えば、パソコンなどをたくさん使うような仕事をしている場合、腕の筋肉が凝ってきます。そうすると、首も凝ってくるのです。首には声帯があります。首の周辺が凝って固まってくると血流が悪くなり、声帯が柔軟に働けません。
良い発声をするために、腕や肩のストレッチをすることは意味があることなのですね。
この日は高田三郎作曲の「水のいのち」より最終曲「海よ」を練習しました。
ここでは、ディミヌエンドの一つの方法を教わりました。
ディミヌエンドとは、だんだん弱くする、という意味です。
弱くする、というとおとなしくなって、内にこもったような表現になりがちなのですが、ここでは外に向かうディミヌエンドを使います。
「海よ」のクライマックスでは、「あふれるにみえてあふれることはなく、終わるかにみえて終わることもなく・・・」
という歌詞があります。
これは「終わるように見えてまたそこから始まっていきます」という輪廻転生のことを言っていて、全曲を通して一番言いたかったテーマでもあります。
完全に終わらせない、向こうのはてに飛ばすような、遠くに手放してあげるような弱さです。
例えて言うと、演歌歌手が使っているようなディミヌエンドでしょうか。
そうすると音は弱いのに遠近感がついて、表現の世界が広がっていきます。
あたかも命は永遠に続くように聴こえてくるのです。
音を弱くするだけでもテクニックがあります。
音のパレットを増やしていけるといいですね。