世界から信頼されるリーダーとは 「仲間からもらった勲章」小澤征爾さんのリーダーシップ
指揮者の小澤征爾さんが2010年11月2日、東京・赤坂のサントリーホール(小ホール)で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から「名誉団員」の称号を受けました。日本人で授与されるのは初めてのことです。
ウィーン・フィルは今もって世界最高のオーケストラだと思います。
団員は、近頃はハープ奏者に女性を採用したりしていますが、1990年代まではオーストリア(ドイツ)人または旧ハプスブルク帝国支配地域出身の男性にほぼ限定されていました。この排他的とまで言えるマインドがウィーン・フィル独特の音色を作り出しているものと思います。
この称号は、今までレナード・バーンスタインやリヒャルト・シュトラウスなど、歴史に残るような指揮者たちが受けていて、小澤征爾さんもその一人となるのです。
クレメンス・ヘルスベルク楽団長の
「私たちが小澤さんをほんとうに愛している印として、この称号を贈ります。今回の称号で小澤さんが少しでも元気になればと思っています」
という言葉を聞いて
「いろんな人に迷惑をかけちゃうのは申し訳ないと思うけれど、仲間からもらう今日みたいな勲章は一番うれしい」
と目に涙を浮かべていたのが印象に残りました。
「あなたたちから指揮者とは何かを学んだ。音楽家としてだけでなく、人間としてもさまざまなことを学ばせてもらいました」と英語のスピーチもなさっていました。
桐朋学園、齋藤秀雄仕込のテクニックで、世界トップクラスだった小澤さんですが、ウィーン・フィルの誇り高い自主的な音楽作りは小澤さんの指揮に大きな影響を与えたのではないかと想像します。
あれだけの巨匠にして、人に対する感謝の気持ちを常に忘れない小澤さん。
そんな小澤さんをウィーンの人たちは仲間として受け入れたのです。
大病を乗り越えられて、これからさらに深い音楽を奏でて、感動を与え続けてほしいですね。