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「風呂出て、シェー寝る」日本の第九事情

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11月も半ばを過ぎ、年末の第九演奏会に向けて、あちこちで合唱団の練習たけなわの時期です。
 
風呂出で、シェー、寝る、下駄踏むけん
徒歩たあ、アー臼、江利チエミ
ビア、別連天(ベツレーテン)ホイヤ、ツルむけん
ヘン、無理せえ、頽廃リズム
 
これは、ベートーヴェン作曲、交響曲第九番の第4楽章における、ドイツ語を日本語流に読み下した歌詞です。
 
数年前、第九を歌うアマチュア合唱団に仕事で出向いたとき、団員さんから「どうしてもドイツ語に抵抗感のある年配者にこの歌詞を配ってもよいですか?」と渡されたものです。
 
また、国技館すみだ第九を歌う会にもユニークなアレンジがありましたので一部ご紹介します。
 
「第九語呂合わせ」(詳しくはこちらのサイトへ)
 
風呂出て 詩へ寝る 月輝る 粉健
(フロイデ シェーネル ゲッテル フンケン)
とホテル 会う末 理事生む
(トホテル アウスエ リジウム)
ビルベ と0点 夫追い得る 取るん健
(ヴィルベ トレーテン フオイエル トルンケン)
貧無理死へ 台ん 入り産む
(ヒンムリッシュ ダイン ハイリヒトウム)
 
どんな人でも抵抗感なく第九が歌えるように、という考えで生み出されたもので、敷居が低くなることは良いことですね。
こういった努力もあって、日本では第九がポピュラーな存在になっているのだと思います。
 
今や日本では、特に年末に集中しますが、年間約130回以上の第九が演奏されているそうです。
これはどうも世界では日本だけの情況らしいですね。
 
12月など、同じ日に同じホールで昼と夜に2回第九の演奏会が行われることも珍しくはありません。
日本のオーケストラにとって、年末は第九ラッシュで大変忙しい時期。
一流のソリストも歌い、チケット料金も普通の演奏会より高いものですが、クラッシックの演奏会には行かないような方々にも聴いてもらえて、チケットの売れ行きが普段より良いそうです。
オーケストラの運営とは本当に大変なものです。第九がたくさんあればありがたい臨時収入であることは間違いないと思います。
 
語呂合わせの歌詞ですが、自分が教えるとき使うか使わないかというと、情況にもよりますが、出来る限り使わないで歌えたらと思います。
 
ドイツ語は、日本語にはないような発音が多く、原語にカタカナをふっているだけでも、日本的な浅い母音を体が覚えてしまいます。
ドイツ語の発音も音楽のうちだと考えます。日本人の私たちには難しいことかもしれませんが、歌詞の訳も理解しつつ、少しでも本来の響きに近づけることも大事なことなのではないかと思うのです。
 
リーマンショックもあり、不況で少子化の世の中ですが、だからこそアマチュアでも本物志向の人が増え、さらに成熟した大人の文化が育っていく中世のイタリアルネサンス時代のような時代が日本にも来るような予感がしています。

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