ルネサンス時代の合唱曲二つのポイント
聖母マリアを母体として誕生したイエスキリスト。
その出生の秘密を歌った歌、中世ルネサンス時代の作曲家、ヴィクトリア(1540~1613)作曲の「アヴェマリア」という曲があります。
2010年11月20日、合唱団コール・リバティストの稽古で、東混のテノール秋島先生をお招きしての練習を行いました。
この曲は、最初にグレゴリオ聖歌の旋律が一節あります。
それを聖歌隊のリーダーが歌い、それから4声に分かれて合唱団全体で曲が始まります。
その時代は、皆が自由に抑揚をつけて歌っていたそうです。
ただ、歌うには2つのポイントがあります。
1つ目は、ラテン語のアクセントにあります。
例えば「アヴェ・マリア」という言葉。
「アヴェ」の「ア」、「マリア」の「リ」にアクセントがつきます。
ラテン語の場合、アクセントは強く発音するのではなく、長くのばすのです。
しゃべり方としては「アーヴェ・マリーア」というようになります。
強弱や高低はありません。
牧師さんが「アナタハー、カミヲー、シンジーマスカー?」と話している様子を思い浮かべてみてください。
昔は、ラテン語のお経を唱えるように、曲がついていったのだと思います。
ヴィクトリアくらいのレベルの作曲家になると、そのアクセントにあわせて、きちんと音がついています。
この日の練習では、アクセントにあわせた自然な抑揚で歌うように練習しました。
ポイントの二つ目は「アルシスとテイシス」です。
アルシスとは、例えば、ゴルフボールを打って最高点に達するところ。つまりエネルギーが増えていく状態のことを言います。
テイシスとは、そのゴルフボールが最高点から停止に向かうところ。つまりエネルギーが減っていく状態のことを言います。
アルシスとテイシスとは音楽の律動のことなのですね。
曲を見れば分かるとおり、大体において音が上昇しているところがアルシス。
下降しているところがテイシスとなっています。
それはごく自然に連動していますので、それに合わせて歌うことが大事です。
アルシスとテイシスをそのまま活用して歌えば、かなり良い演奏が出来ると思います。
1、ラテン語のアクセント
2、アルシスとテイシス
ラテン語の宗教曲において、この二つが分かれば、あとは少し応用するだけで大抵の曲は歌えるようになりますよ。
この日、林光編曲の「鉾をおさめて」と「かやの木山の」も歌いました。
「鉾をおさめて」は景気の良い大漁の歌。
世の中の景気もよくなるように、この歌を歌いたいものですね。