ユリウス・カエサルはプロをも超える最強のアマチュアだった プロフェッショナルを超えるための2つの条件とは
音楽の、特に器楽の世界では、アマチュアがプロより素晴らしい演奏するのは、かなり難しいことだと思っています。
中でも、ピアノや弦楽器は、幼い頃に身につけるべきメソッドが多すぎるのです。
しかし、アマチュアがプロを超えることもあります。
しかもプロには真似できないような鮮やかさで。
塩野七生さんの著書「日本人へ リーダー篇」では、ユリウス・カエサルは一流のプロを超えたアマチュアだと書かれています。
カエサルの指揮官としての初仕事は42歳のとき。
一方アレクサンダー大王や、ハンニバルは、権力者の子として生まれ、10代のころから戦場経験を始め、修羅場をくぐり抜け、徹底的に戦略と戦術の帝王学を学んでいます。
これはもう、純粋な軍事のプロと言えるでしょう。
アレクサンダーとハンニバルの戦法は、ある一つの方式に貫かれており、今でも十分通用する現代の軍事大学の教材となっているメソッドです。
しかし、カエサルは戦闘に一貫性がありませんでした。
それは、味方敵ともに心理を読み取って、それぞれ臨機応変に適応させて戦闘に臨んだからです。
例えば、ガリア戦没のアレシアの野における攻防戦では、兵士たちには士気をあおるより、恐怖心をとり除くことを優先しました。そして7倍の勢力を持つ敵のガリア人は、勝てないとわかったとたんひるむという性向があったので、襲撃の速度を落とすために防御設備の工事を行っています。
アマチュアがプロを超えるためには次の二つの条件があると塩野さんは言います。
・一つ目は、徹底した現状直視
・二つ目は、常識にとらわれない自由な発想
クラッシックで、幼いころから訓練しているプロを超えることはなかなか難しいのですが、この二つの条件があれば、アマチュアでもプロを超えられる分野があります。合唱です。
2010年の東京都合唱コンクールで、harmonia ensenbleという18人の団体が出場2年目で、並み居る常連を押しのけ、圧倒的な勝利を飾りましたが、この二つを徹底的に考え抜かれた演奏だったと思いました。
一つ目は、自分たちの声にあった選曲と現場にあった演奏です。
残響の多いホールと、繊細でまっすぐな声を生かしきった選曲をしていました。これが、分厚いハーモニーとスケールの大きい声を必要とする曲だったら、印象が違っていたと思います。
18人という少人数を感じさせないような舞台での立ち位置の配置も工夫していて見事でした。
2つ目は他の団体が行わないような演奏スタイルです。
シアターピース(ホールの客席通路まで舞台として使用する)方式での演奏は、他団体どこも行わないような大胆な演奏方法。団員が単独でばらばらになるので、声に自信がないとできないのですが、その賭けが見事成功していました。
ただ上手なだけでしたら、こんなに圧倒的な審査員全員一致の第一位などとれなかったでしょう。
追う立場から追われる立場となり、次回からがさらに大変だと思いますが、プロの合唱団に匹敵するような鮮やかな演奏でした。
冷静な分析と自由なイマジネーション。
この両方があれば、プロを超えることも可能なのです。