イギリス、キングスシンガーズにみる究極の組織 3つの条件とは
今年の7月に来日した、男声6人のイギリスのアカペラグループ、「キングスシンガーズ」の演奏が9月17日放送NHK芸術劇場で放映されていました。
1968年結成され、ルネサンス時代の曲から、イギリス民謡、ビートルズナンバーなどのポップスまで、幅広いレパートリーを持ち、高度な技術でエンタテイメント性の高い演奏を聴かせてくれます。
驚異的なアンサンブルは、もう神レベル。
鳥肌が立ちました。
しかし、何度かメンバーチェンジを行ってきたにも関わらず、どうやって40年にわたってそのサウンドを保ち続けてきたのでしょうか。
3つの秘密をメンバー自らが語ってくれました。
1、新メンバーは一緒に歌って決める
応募が殺到するため、新メンバーの公募は行わないそうです。
合唱指揮者から有能な歌手を25人ほど紹介してもらい、現メンバーと一緒に歌ってもらう。6人の声がバランスよく響くか確認し、声が合えば2次試験を行い、さらに4~5曲歌い、良ければ合格となります。
2、聖歌隊出身者
聖歌隊では、若いうちから規律を身につけます。そこで育った「自立心」や「独立心」が大人になっても役立つのです。年齢や経験差を越えて上手くやれるコツがここにあります。
3、個性はいらない
全体が一つのまとまった声として響くように心がけているそうです。個を強調するような歌い方は避け、個性を犠牲にしてでもまとまった響きを重視します。
ただ上手であれば良いというものではありません。アンサンブルは、声が一つに溶け合うことが大事で、合わせてみなければ分からないということなのですね。
芸術の世界なのに個性は出さない。
しかも、個人の自立心や独立心はしっかりと持ち、互いにもたれかかるような、なあなあの関係にはならないのです。
40年の間にわたって世界に二つとない響きを保ち続けてきたキングスシンガーズの素晴らしい演奏とともに、その根幹なるものは何か、究極に優秀な組織とは何か、考えさせられました。