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ライフワークとしての学びを考えます。

一万時間の努力でその道のプロとなれるのか?成功者となれるのか? そのためにまず始めるべきこととは

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ロシアのピアニスト、スビャトスラフ・リヒテル。
ピアニストで彼を尊敬しない者はいないでしょう。
 
しかし彼は、英才教育を受けた天才ではありません。
 
高校生まで正規の音楽教育は受けず、ほぼ独学でピアノを弾き、突然オデッサ劇場でオペラの伴奏ピアニストの仕事を始め、22歳で、最高峰のモスクワ音楽院に入学する。初めてリヒテルの演奏を聴いた名教師ネイガウス教授は「天才的な音楽家だ」とつぶやくのです。
22歳でネイガウス教授を訪れる時点で、ピアノを弾いている時間は1万時間を超えていたのだと思います。
 
マイクロソフトの、ビル・ゲイツ。
彼は中学2年から高校卒業までの5年間、独学でコンピューターの使い方を覚えました。そのとき一日平均8時間。そしてハーバード大学を2年で中退し、自分の会社に力を入れ始めたときの7年目にはとっくに1万時間に達していました。
 
「天才!成功する人々の法則」の著者、マルコム・グラッドウェル氏のインタビュー記事、日経ビジネスオンライン「成功は、1万時間の努力がもたらす 好きこそ物の上手なれ」を読みました。
人は、才能に関係なく、一万時間の努力によってその道のプロフェッショナルとなり、成功者となる、という理論です。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・

私は失敗から学ぶことができる人には、共通したいくつかの性格があると思う。まずresilient(弾力性がある、立ち直りが早い)であること。次に、謙虚でなければならない。また失敗について分析する力が必要だ。この3つを備えている人は非常に稀。だから失敗から学べる人、あるいは組織は、かなり稀な存在だ。

この1万時間は、方向性を持った、分析を伴う1万時間だ。私は、deliberate practice(熟考した練習)という表現を使うことにしている。外に出て、ゴルフボールを打つだけでは上達しない。弱点を練習する、練習方法を分析する、など常に長所と弱点に集中する1万時間だ。

     ・・・・・(以上、引用)・・・・・

リヒテルは自分に大変厳しく、聴衆が演奏に熱狂していたとしても、納得がいかなければ、決して喜ばなかったと言います。どんなに有名になろうとも音楽だけを純粋に追求する姿勢は最後まで変わることはありませんでした。だからこそ、3つの条件を回しきることができた稀有な人物だったと私は考えます。
また、ゲイツも一人で、独学で、この3つの条件を回すことができたのです。
 
本来人の脳は、怠けようとする本質を持っています。人は自分に甘いものです。なかなか3つの条件を回すことは難しい。だからこそ天才は稀有な存在なのです。
 
それでは、この道のプロフェッショナルとなるにはどうすればよいか?
 
自分が尊敬できる私淑できる進みたいと思う道の師匠を見い出すことだと思います。
その人の言うことならば素直になって「はい」と言うことが聞ける。
これは、社長さんでも、職場の上司でも良いと思います。
その人の下で技術だけでなく人間的なものまで学ぶ。職場であれば5年もすれば1万時間越えるでしょう。
そういう師のいるところに自分から出向くことです。
それが本当の深い学びであり、一万時間への近道なのではないかと思うのです。

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