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最弱音ほど難しい 弱さの表現とは

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私が指導を務める合唱団コール・リバティスト2010年9月18日の練習日記です。
 
創立4年の合唱団で、合唱団としては若い方だと思います。
とうとう19日に行われる東京都合唱コンクールに初めてエントリーすることが出来ました。このコンクールは日本の合唱コンクールでは最高峰の難関といわれているくらいレベルの高いコンクールです。初チャレンジで、このコンクールとはかなり頑張ったと思います。
 
アカペラの課題曲と、8分半の自由曲を演奏しなければならず、練習を重ねてきました。
課題曲はビクトリア作曲「Ne timeas,Maria」、萩原英彦作曲 合唱組曲「光る砂漠」より「再会」と「ふるさと」を演奏します。
 
本番指揮者のマエストロがいらして最後の稽古をつけます。
 
「どれだけ緊張感が続くかやってみましょう」と何度も通し録音を行いました。
 
「明日は皆さんの顔を見て振りますからね。目を見てください。目をそらさないようにしてください。目をそらした人をずっと見続ける指揮者もいるくらいです。出のときは必ず見ようとしますから。」
 
「もし音が大き過ぎたら、こうしますから(手を下向きに)。でもしょんぼりしないでください。舞台では元気よく。p(ピアノ、弱く演奏する)のところでも、気持ちが弱くなってはだめですよ。」
 
舞台では、弱音が一番難しいとされています。芯がなく弱々しいだけの音だと、ホールに響かず、オーディエンスに届きません。弱音が素晴らしく演奏できたら一流と言われているのです。
 
弱いけれど、眩しくて温かい。そんな神秘的な表現を追求しなければならないのです。
 
「飛行機事故で炎に包まれて、生還した人の話があります。炎の中に包まれているときにすごく安らぎがあったそうです。不思議な話ですね。そういう体験談を聞くと神秘的な気持ちになりますね。この曲で眩しいという意味は生命の神秘的な光なのです。」
とマエストロのお話がありました。
 
炎に包まれて、死を目の前にしたとき、不思議と安らかな気持ちになったとは、また人間の心の奥深さを感じます。
 
「明日はコンクールというよりか、音楽を伝えていく演奏をしましょう」
というマエストロの言葉が印象に残りました。

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