意見する文化のない日本 しかしこれからは自分の考えを口に出していくことが求められる サッカー選手三浦和良さんの「主張するコミュニケーション」とは
日本では「なぜ?」「どうして?」と聞くことができない文化を感じます。
しかしそんな時読んだ、2010年9月24日、日経新聞「サッカー人として」横浜FCの三浦和良選手の記事が印象に残りましたのでご紹介したいと思います。
・・・・・(以下引用)・・・・・
子供は空気なんて読んだりせず、聞きたいことをストレートに聞いてくる。小学校を訪ねると必ず質問されるのが「カズさんはいくらもらっているんですか」(中略)
ブラジルでは17歳の選手が当たり前のように稼いだ1万円のうち8千円を家族に仕送りする。そんな年齢でも自分が家族を支えている自覚が強い。だからハングリーだし真剣だ。16歳の少年がジーパンにTシャツにかばん一つぶらさげてクラブのテストにやってくるのも日常。一人寂しく20時間もバスに揺られて。そのままかばん一つで帰っていく後ろ姿を何度目にしたことだろう。「自分の道はこれしかない」という必死さ。なぜサッカーをするのか、出発点が違うんだ。
だから彼らはお金について主張する。(中略)放映権料の何%かを選手に与えろ、観客が大入りなら勝利給だけでなく試合の総収入の数十%をよこせと要求する。主張は当然の権利なんだ。
「自分の意見があれば僕は言います」。日本代表に召集されたとき、僕が監督にぶつけたのもそれだった。当時は代表にすら、意見する文化がなかった。(中略)
記者会見にしても「言い合うこと」に慣れていない。「もっと勉強してください」と監督にたしなめられてる記者がいると聞く。記者は黙らず聞き返せばいいんだ。「勉強はします。でも素人でさえ感じるこの疑問に答えてください」と。そこから議論は生まれる。素人の疑問の方が人々の一番知りたいことだったりするからね。
もちろん主張するには自分で考えないといけない。人任せにしないことが大切なんだ。この業界に長く携わる僕たちから、まずは主張していかないと。
・・・・・(以上引用)・・・・・
高校一年を中退して単身ブラジルに渡った三浦選手。日本語が通じない外国で、なぜ?どうして?疑問に感じたことはすぐに聞いたり主張していかないと生きていくことが困難な世界で、体を張ってやってきたのでしょう。
日本は質問しなくてもやっていけるということは、まだまだ優しく生きやすい世界なのかもしれませんね。
これからは、日本もグローバルに出て行かなくてはならない時代。
「なぜ?」「待って」という主張。そして自分の考えを口に出して議論する。戦う。そんな力強さ、したたかさも必要になってくるのでしょうね。
三浦選手でもジレンマを感じているのですね。難しいことかもしれませんが、私達も少しずつ主張するコミュニケーションを学んでいかなければならないのだと思いました。