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記憶力は適当にサボりながら勉強したほうが2倍効果がある その科学的な理由と勉強方法

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ピアノを始めた頃、先生からよく言われていたことばに「一日練習しないと自分に分かり、二日練習しないと聴衆に分かる」というのがありました。
 
とにかく、ピアノというのは一日何時間練習したか?というのが最優先に問われるほど時間のかかるものだと言われています。
ピアノ曲は何せ音が多い。指の訓練をし、さらにこれを暗譜しなければならない。・・・というか暗譜するまで練習しなければならないために、個人差はありますがかなりの時間を費やすことになります。
 
ところが、2010年8月29日日経新聞「ナゾ謎かがく」にて、ぶっ続けで長時間勉強することは実はあまり効率の良いことではない、ということが書いてあるではありませんか。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
「運動の短期記憶」がつくられるのは、後頭部にある小脳。小脳皮質には、木の枝のような突起を伸ばすプルキンエ細胞と呼ばれる細胞がたくさんあり、記憶を蓄える。
短期記憶はしばらくすると別の場所に移され「運動長期記憶」となる。移転先は小脳の中心の小脳核、または延髄の前庭核と呼ばれる場所だ。
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

体で覚える状態になるまで、短期記憶から長期記憶へのプロセスが必要のようです。すぐに出来ないのは、小脳核や前庭核にまだたどり着いていなかったというわけなのですね。

     ・・・・・(以下引用)・・・・・
 
1時間連続して練習したネズミと、15分ずつ4回に分けて、間に30分くらいの休憩を置いて練習したネズミを比べると、練習終了直後の記憶は違わないが、24時間後に調べると、「連続」は「休憩あり」の半分ほどに記憶が薄れてしまう。「体を動かしていない時に小脳で起きていることが長期記憶に大切らしい」
 
もう一つの面白い発見は、短期記憶のうち大まかな情報だけが移動して長期記憶として残ることだ。長期で保たれるのはいわば概要だけ。短期の記憶がその都度付け足され完全な記憶が戻る。
 
     ・・・・・(以上引用)・・・・・

何時間も続けて練習したとしても、次の日には半分になってしまうのですから、またさらに補うための練習をしなければならず、非効率な悪循環が生じていたわけです。
効率を高めるには、練習の合間に休憩を置くことが必要です。
 
また、いくら長期の記憶といっても完全ではなく、大まかなことしか覚えていないのです。短時間でもちょっとずつ鍵盤にさわったりして、体が思い出すようにしたほうが良いようです。
 
生徒に「一日何時間練習する競争」を強要したり、「まとまった時間がないからできない」と思う必要もない、ということがよくわかりました。
 
煮込みの様子を見ながらとか、雑用したりしながらの練習に、「自分はなんて集中力がないんだ」と思っていましたが、この方法が一番効率が良いことが科学的に実証され、なんだかすっきりした気持ちになったのでした。

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