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指揮者を見る第3の目

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演奏者達はどうやって指揮を見ているのでしょうか。

指揮の伴奏ピアノを弾いていた時期がありました。
レッスンのたびに何十人ものオーケストラをお願いしていたのでは大変です。2台のピアノがオーケストラ譜を弾いて、指揮者のレッスンを行うのです。
 
このとき、譜面と共に、指揮者の合図を見ていないと、もう一台のピアニストとさえ合わなくなってしまいます。
 
ただ、譜面をみながら手元を確認しなくてはならない場合もあるので、指揮だけを凝視しているというわけではありません。
 
このとき「第3の目」が必要だ、と言われました。
 
これは視界の中に指揮をとらえている、ということの他に「感じる力」を言うのだと思います。
 
指揮者の岩城宏之さんが、マスクをかぶり表情を隠して指揮をした場合と、手は動かさずに顔だけで指揮をした場合と、どちらが良い演奏が出来るのか試してみたという話があります。
 
結果、表情が見えたほうが、良い演奏になり、見えない方は、いくら指揮棒だけを振っても音楽にならなかったそうです。

指揮者は、表情や身体全体から発する「気」で音楽を演奏者に伝えようとしているのです。
 
「気」を伝える力、そして感じる力、その両方が高まったときに良い演奏になるのでしょう。
 
2010年8月14日。私が指導を務める合唱団、コール・リバティストで、マエストロをお招きしての稽古を行いました。
 
「ここぞ合わせるところでは火花が散る如き視線が絡むように。
指揮者を見てください。
音楽を感じてください。」
 
良いオーケストラ、良い合唱団とは、「感じる力」に優れた集団なのだと思います。

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