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ライフワークとしての学びを考えます。

身内にレッスンをするのはやはり難しい

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もうすぐ3歳になる息子さんを持つピアニストの友人ががいます。
母親が弾いているのを見ているからでしょうか。
「この頃おもちゃ代わりにピアノを叩き出したのよ」
と話していました。
彼女は大変才能豊かで、頭脳明晰。成績は常に学年トップクラス。ヨーロッパ留学から帰国してすぐに結婚したのでした。
やはりカエルの子はカエル、なのでしょうか。
 
3歳ですから、もうレッスンを始めるのかな?と思いました。
 
「男の子だし、できれば子供には音楽をさせたくない。」
 
「自分では絶対に教えられない。子供に教えるのは難しいと思うから。」
 
「趣味でする分にはいい。もしレッスンするとしたら外の先生にお願いする。でも、レッスンを始めて本気になったらどうしよう、という思いがある」
 
普通なら、こんな優秀なピアニストが母親で、毎日見てもらえたらさぞかしすごい音楽家になるだろうなあ、もったいない、と思ってしまいますね。
 
しかし、
「息子とは、生涯いい関係でいたい。こちらが音楽のことを良く分かっているだけに、自分の子だと冷静に見れなくなってしまうと思う。
ピアノを始めたら否が応でも家で弾く音が聴こえる。そうなると多分だまってられない」
と言うのです。
 
親子でレッスンをつけて、家族関係が上手くいっていないケースを数多く見てきているので、二人とも深くうなずきあいました。
音楽は主観的なもの。
身内にレッスンをするのは特に難しいのではないかと思います。
 
ユニ・チャーム会長の高原慶一朗さんは、社長である息子さんの高原豪久さんを一人で台湾現地法人副董事長として修行に出しました。
以前、村上龍さんの番組「カンブリア宮殿」に出演なさっているとき、台湾での苦労話をなさっていたのを覚えています。
 
「最初、現地の工場の人たちはなかなか受け入れてくれませんでした。台湾は累積赤字がたまっていて、社員の意識も下がっていたのです。
お酒は強くないけれど、飲み倒しました。そうやって最先端の現場の人の声を聞くことが改革に繋がったのではないでしょうか。」
 
お父様の手を借りずに、一人でピンチを切り抜け、成長なさったのですね。
現在のユニ・チャームの躍進ぶりを見ると、なるほどと思います。
 
天才騎手、武豊さんのお父さんは「ターフの魔術師」と呼ばれていた元騎手の武邦彦さんです。
武豊さんは「父親は騎手になることについて一切何も言わなかった」と語っています。
 
高原さんも武さんも、お父さんはきっと細かくいろいろと口出ししたかったのではないかと想像します。
でもそこをぐっとこらえたのではないでしょうか。
 
偉大な親がいようとも、本人の力で乗り越えなくてはいけないことをよくご存知なのでしょう。
どの世界でも、親子は愛が深いだけに難しいですね。

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