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ライフワークとしての学びを考えます。

プロフェッショナルに理論は必要か 「考えないより考えるほうがいい」「知らないより知っているほうがいい」

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千葉県成田に、プロのホースパーソンのための専門学校があります。
将来は競馬の騎手、厩務員、乗馬インストラクター、競走馬育成や生産牧場のスタッフなどを目指す人が学んでいます。
JRA競馬学校の騎手課程は、昨年度合格者9人ほどの狭き門。そこを志望するエリートも在学し、毎年合格者も出しているのです。
 
そこで4月より馬の科学や理論の先生をしている知人と久々に食事をしてきました。
 
「彼等にしてみれば、実際の技術とは関係ない理論科目は意味がないと思っているみたいだ。
朝早くから馬の世話やトレーニングもあるせいかもしれないけれど、寝ている子が多くて驚いたよ。もちろんやる気のある子もたくさんいる。
馬に乗ることだけがすべてではない。
馬の体の仕組みや、性質などもわかってないから、無理な乗り方をして怪我させてしまうんだ。」
 
サラブレッドはガラスの芸術品といわれています。
アスリートなみに極限まで鍛え上げなければならない一方で、故障が多いのも事実。
優秀な馬が海外で活躍するのが難しい一つの原因でもあります。
 
野球の野村克也さんの話をしました。
 
野村さんは技術力や天性だけに頼らない「考える野球」を徹底させました。
「考えないより考えるほうがいい」「知らないより知っているほうがいい」と、子供の頃から野球一筋の選手達に、人間的成長も促しながらノートをとらせて講義を行いました。
こうしたちょっとの差が、実際のプレーに生き、将来はいざ自分がコーチや監督になるためのチャンスになるのです。
野球に打ち込んでいただけに、気持ちは純粋で素直。納得すればみるみる吸収して、チームは強くなっていったそうです。
それが野村マジックといわれる一つの所以でもあるのですね。
 
馬の先生は
「あ、それいいね。次から使わせてもらうよ」
と言って帰っていきました。
 
音大でも、音楽理論の時間は寝ている人はそれほどではありませんが、退屈そうにしている学生も多かったように記憶しています。
やはり弾けなければ始まらない、という世界なのです。
 
ヴァイオリニストの千住真理子さんは、音大に行かず、慶応大学を卒業しています。
同じくヴァイオリニストの五嶋龍さんは現在ハーバード大学在学中。
巨匠ホロヴィッツは、一番脂の乗り切った時期に12年間演奏活動を中断しています。その間、哲学を勉強していたそうです。
 
音楽家とて、技術だけではありません。さらに言うと理論だけでもありません。
人間的成長への努力と豊かな人間性も必要なのですね。

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