低い声は先天的に決まっている
2010年4月10日、私が指導を務めるコール・リバティストの練習日記です。
18時からは、秋島先生をお招きしての練習でした。
発声のあと、秋島先生から、高い声や低い声についてのお話しがありました。
高い音は訓練次第では出るようになります。
しかし、低い音というのは、もともとその人が持っている声帯の長さによって最低音が決定します。
声帯は弦楽器に例えられます。
バイオリンは弦が短く細いので高い音。
チェロは弦が長く太いので低い音が出ます。
コントラバスはチェロよりもっと弦が太く長いですから、さらに低い音が出るのです。
長い声帯をもつ人ほど低い声が出しやすいのです。
成長期に背が伸びるのと一緒に伸びるということはあります。
思春期に、ホルモンの関係なども併せて、男子は一オクターブ下がり、女子は3度下がるのです。
声帯は25歳くらいまでの間は伸びます。
なので、25歳までの間に声域が変わるということはよくあるそうで、テノールだった人がバリトンになったり、ソプラノだった人がアルトになったりします。
低い音は、訓練でどんどん音域が広がることはありませんが、テクニックによって響かせる、という要素はとても大事です。
ただ「低い声が出ます」というだけでは良くないのですね。
響かせる、ということは「共鳴」や「頭声」に関係します。
毎週土曜日13時~17時の稽古で、発声と共に、共鳴の訓練も始めたところです。共鳴が上手くいくと、ホールの後ろにいるお客様でも、まるで耳元で歌っているように聴こえるようになっていきます。
音大の声楽科を出て、ミュージカルに転向する方が結構いるそうです。
クラッシックの発声はベルカント唱法を中心に、柔らかく、頭声や共鳴によって響かせます。
しかしミュージカルの発声は独特のもので、声帯をきつく閉じる歌い方をします。
ちょっと硬くて張りのある声がするのです。
ミュージカルの曲には似合っていて、かっこいい歌い方だと思います。
これをベルカントで歌うと、やはり違和感がありますね。
歌にとって、声帯を閉じることは大事なことです。
しかし、きつい閉じ方を長時間続けて、しかも大きな声を出していたら負担がかかることは確かだと思います。
クラッシック出身の人がミュージカルに転向すると、大体2年でのどを壊すらしいのです。
休みなく何日もハードな舞台が続くことも原因の一つではないかと言われています。
強靭な声帯を持つ人しかミュージカルは続かないのですね。
クラッシック唱法では、楽器である身体を有効活用し、いかに少ない力で響く声を発声するか、というのが永遠の課題なのです。