動かないもの思い通りに動かす力
オペラ歌手が出す人間業とは思えない高い声。
マライア・キャリーの出す超高音。
一体どうやったらあんな声が出るのでしょうか。
今日は、歌うときに身体がどのような状態になっていると良いか説明致します。
1、口蓋垂を引き上げる→驚いたときの表情です
2、舌のポジションが下がる→舌で喉をふさがない
3、声帯を後ろに引っ張る、喉を下げる→つばをごくりと飲んだときに下がります
4、横隔膜を引き下げ、重心はそのでまま息を吐く
1と2では、口の中の空間を多く取り、気道をふさがないことがポイントです。
これは、発声における第一関門です。
日本人で普通の生活をしていると結構難しく、なかなか出来ない人が多いようです。
日本語自体、口をあまり開けなくても発音出来るため、日本人はもともと口の中が狭くなりがちです。
イタリア語などは、もう歌のような言葉ですから、彼等は普段の生活から口の中の空間は広くなっています。
これだけでもイタリア人は大変有利ですね。
以前、ボイストレーニングの時に、1と2がどうしても出来ない場合のやり方を教えていただいたことがあります。
口蓋垂や舌の付け根をカレースプーンなどでつついて刺激するのです。
健康診断のとき、喉をへらのようなもので押さえるのと似ています。
ちょっと「おえっ」となってしまうことがあると思います。
それでも続けると、だんだん意識がそこに向いて、思い通りに動くようになるのだそうです。
声楽をしている人は、健康診断でへらなど必要ありません。
自分で意識して口腔内を動かせるからです。
例えば、耳を動かすことはできますか?
俳優の勝新太郎は、大ヒットシリーズ「座頭市」第3作目で、耳がピクリと動くようになりました。
勝さんと監督の三隅研二監督が
「耳が動いたら面白いだろうね」
と冗談のように話して、しばらくしたら本当に耳が動いていたそうです。
すごい役者魂ですね。
意識と集中もっていけば、動かないものでさえ動くようになるのですね。