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ライフワークとしての学びを考えます。

良い箱を使うことができる幸せ

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先日、施設の抽選会に行って、改めて思いましたが、この頃のアマチュア合唱の練習会場は恵まれているなあ、と思います。
 
ソファがおいてある歓談スペースや、シャワー室、更衣室などもありますし、廊下の隅々まで掃除が行き届きいつも綺麗です。
おかげさまで気分良く練習することができています。
 
ほんの数年前まで、こんな素晴らしい施設は、大ホールのリハーサル室以外ほとんど見かけなかったように思います。
ここ何年かにわたって、かなり施設の改修工事が進んだのではないでしょうか。
 
以前は、アマチュアの練習に仕事に行くと、築30~40年くらいの古い施設で、まずピアノの状態は期待出来ません。
冷暖房も快適なところは少なくて、冬はカイロとひざ掛けは必須。
夏は冷房の調節が効かず、極端に寒いか、全く効かなくてものすごく暑いかどちらかのことが多い。
 
会場代がお安いので皆さんよく使用されていた、アマチュア御用達、都会の真ん中にあるバラック建て練習会場は特にすごかったと思います。
工事現場のような建物です。
しかし、団員さんは「雰囲気がある」と気に入っていました。
そこは、冷暖房などもちろんないし、大雨だと雨漏りがしていました。
夏場は、歌う息や汗で天上から水滴が落ちてきそうな感じです。
もちろんピアノはボロボロ。
押して上がらない鍵盤がいくつもありました。
 
団員さんたちは「ピアノが悪くてすみません、すみません・・・・」と平謝りですが、でも、どんな状況でも「音楽をしたい」「仲間と合唱が出来る」と皆さん目を輝かせて、嬉々として練習しているのです。
プロでもないのにとても上手で、でも単なる上手とは違う、プリミティブな生命力にあふれていました。
 
その時、初めてアマチュア精神というものを見せ付けられ、今でもその情景は脳裏に焼きついています。
私がアマチュア指導に関わるようになったきっかけとして、彼等の存在なくしては考えられません。
 
私の母校も、音大なのにホールなどないし、校舎一つで、それも女子高校からのレンタルです。
数少ないレッスン室を取り合うようにして練習していました。
現在も相変わらず同じ状況のようです。
 
やろうと思えばできるものなんですね。
 
今はどこもしっかりした設備のところばかりで、本当に恵まれていると思います。
普通でしたら、大人数で歌える場所があることだけでもありがたいのです。
 
上手になろうと思えばいくらでも出来る環境が準備されています。
 
ともすると、だんだん贅沢に慣れてしまい、いろいろと文句を言うようになっていて、はっとすることがあります。
今後も、良い意味でのアマチュア精神を忘れないように、謙虚な姿勢で音楽をしていければいいなと思います。
 
税金もこのような形で使われているのを見ると嬉しいものですね。

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