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ライフワークとしての学びを考えます。

時間の芸術

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学生時代、レッスンに5分遅れたことがありました。
先生は
「5分あったら、バッハが一曲弾ける。」
と、ひとこと静かにおっしゃいました。

音楽をするには、時間が守れなければいけない、ということを教えられました。

レッスンで、一回目出来なくて、もう一度弾いたら出来たときがありました。
そのときも、
「本番で弾きなおしはありませんよ。二回目で出来るのになぜ一回目から出来ない?
お客さんはもう一度は待ってくれません。二回目で出来るなんていうのは出来たことにならないですよ。」

「よく弾けましたね」ではないのです。

絵のように描きなおしが出来ればいいのですが、音楽はそうはいかないところが難しいですね。
一度演奏が始まったら、どんな状況になっても演奏し通します。

音楽は時間の芸術なのですね。

尊敬する田坂広志先生が、ある謝恩会で、突然「5分でスピーチをお願いします」と頼まれたとき、ご用意もなさっていなかったと思いますが、5分きっちりで完璧なスピーチをなさいました。

5分という制約された短い時間の中で、言葉の一つ一つがすでに何度も吟味されたように深みがあり、心に響きました。
8年前のことでしたが、今でもはっきりと思い出すことが出来ます。

まさにプロフェッショナル。
時間の芸術だと思いました。

辻さんの「プロフェッショナルの条件」 、大木さんの「プロフェッショナルのルールその1:時間を守ること」を読みまして、思いめぐらせました。

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