オルタナティブ・ブログ > 大人の成長研究所 >

ライフワークとしての学びを考えます。

吹奏楽のスーパーティーチャーから学んだ4つの心得(その2)

»

昨日は4つの心得のうち「1.公平に」、「2.謙虚に魂を込めて」を書きました。

今日は3つ目と4つ目について書きたいと思います。

3、人を生かす

・・・・・・・・以下引用・・・・・・・・

子どもはやっぱり自分を生かしたいと思ってます。(希望した)トランペットが鳴れへん子でもね、ホルン吹いたら鳴ることがある。「いっぺん考えとき」言うといたら、必ず「ホルン吹きます」って(笑)。こっち側から決めることはない。

うちにはそんな(トレーナーをつける)資金もないしね。だけどね、ムチャクチャうまくなりたいと思う生徒が一人いてんのと、超上手に教える先生がいてんのと、どっちが上手くなるか言うたら、これはわからんですよ。うちは生徒の気持ちに賭けてる。
(うまくなりたいという)そういう気持ちにさせるのが僕らの仕事やと思うわけ。

・・・・・・・・以上引用・・・・・・・・

だれでもすべて希望通りのポジションにはなれないし、その希望が必ずしも本人にあっているとも限りません。
見抜き、導き、本気になって取り組んでもらうことを真剣に考える。
そして、選んだ道がその人の幸せにつながることを祈り、全力で見守ります。

4、開かれたものに

・・・・・・・・以下引用・・・・・・・・

(50周年記念演奏会、大阪城ホールで観客1万人。)

同じやるなら単なるうちだけの発表会やなしに、みんなで何かやりたいなと思って。
小学生が聞いたんです。「なんでこの人ら温かい音するんですか」って。こう言いました。「この人たちは、自分でお金を出して、本当に楽器を吹きたいいうだけで来てる人たちやねん」って。赤字です。でもおカネに代えられへん。

(吹奏楽ブーム)ちょっと心配です。私学が学校経営の一部として、推薦や授業免除にしたり、特別なコース作ったりして。先生、指導者、親も地域も、本人さえも満足しているというところに危うさを感じます。

ほんまに燃え尽きるほど音楽やったんか、って。そんな一生かかってもできないようなことを。
やっぱり心にしみるような、音楽を深く深く考える、そういうバンドが残ってほしい。コンクールに出てて、本当に音楽をやればわかってくれるんやなぁ、って思うのもまた事実です。背中を押してもろてる感じがある。本当の音楽の真剣勝負をみんなが応援しに来てくれて、社会現象になればいいのにな、と思います。
そこでの自分のできる仕事は何かというたら、やっぱり自分はこうや、という現場を持つことかな、と思っています。

・・・・・・・・以上引用・・・・・・・・

丸谷さんは、リーダーとして、自分の周りさえ良ければいいというのではなく、日本全体に対して吹奏楽が開かれたものとなるように、そして、吹奏楽の未来に対しても考えていらっしゃいます。

吹奏楽はとことん個人技の世界。器楽は練習に時間がかかります。
生徒も高校生です。勉強、塾、受験もあるでしょう。それぞれ家庭の事情もあるでしょう。親御さんたちの反対、関係者の軋轢もあったかもしれません。
記事にはふれてませんでしたが、ここまでの道のり、平坦ではなかったと想像します。
8ページにも及ぶインタビュー記事の最初から最後まで、考えに方にブレがなく、修羅場をくぐり抜けてきたであろう強い意志を感じました。

コンクール演奏後の写真で、生徒さんたちの満面の笑顔をみたら、努力し、先生を心から信頼してついていったのだということがよくわかりました。
きっと彼らこそ、スーパー・ステューデントなのだと思います。

Comment(4)