お子さんがピアノをやめたいと言ったらどうする?
丸の内でランチをしていたら、隣の席にお母さん二人組みが座って話していました。
「子供が発表会に出たくないからピアノをやめたいと言っているの。」
そこまで聞いて思わず耳をそばだててしまいました。
「せっかく6年生まで頑張ってきたのにもったいない。今やめたら、これまでのことが無駄になるから続けてもらいたい。せっかくいいピアノを買ったのに。それに発表会費用1万円もするのよ。おみやげ付きなんだけどね。今度のレッスンで先生とちゃんと話してから考えなさいって言ってるの。」
「塾も行くから忙しいんでしょ?周りの子、皆やめちゃってるよね。」
ともう1人のお母さんが言います。
「そうそう、でも〇〇子ちゃんは続いてる。子供がやっぱり上手いって言ってる。」
ひとしきり話して次の話題に移っていましたが、よっぽど声をかけようか、と思ってしまいました。しかし、たまたま隣り合わせた他人です。おせっかいもほどほどにしよう、とやめておきました。
6年生。
微妙な年齢だと思います。
だいたい6年生から中1くらいでやめてしまうケースが多いのです。
会話で気になったのは「発表会に出たくないからやめたい」というところです。
「発表会に出たくない」と「ピアノをやめたい」というのは別の問題のような気がします。ピアノがイヤでやめたい、ということではないかもしれません。
お母さんが続けさせたいという強い気持ちがあるのなら、全て先生にお任せせず、まずはお子さんときちんと話して正直な気持ちを聞いてみるといいと思います。
意外な理由が聞けるかもしれません。
例えばですが・・・
・女の子の場合「ステージ用のドレスが着たいから発表会は楽しみ」という子がとても多いのです。このごろは子供用のドレスも豊富にそろっていて、皆さんとても華やか。
出演料がかかることも分かって、もしかしたら、本当はドレスが着たいのに、遠慮して言えないのかもしれません。
・発表会はほとんどの人が暗譜で演奏します。
本番での暗譜は恐いものです。
もし、暗譜に自信がないのでしたら、先生に相談して譜面を置くこともできると思います。
有名な演奏家でも譜面を見て弾いている人もいますから恥ずかしいことではありません。
・上手なお友達と比較されるのがイヤなのかもしれません。
これは、本当によくあるケース。
家でお父さんが「君のピアノを聴くと会社の疲れがとんでくよ!」と言ってみたり、
お母さんも、ちょっとでもいいところがあれば具体的に「さっきのところ音キレイだったよ!」
とほめてあげると自信もついてやる気が出て、がぜん音も変わってきます。
もし照れくさくて言いにくいのなら、メールやブログで伝えるやり方もあります。
ブロガーの吉田賢治郎さんの本「子どもをネットから守り、ネットで育てる」は大変参考になります。
・根本的に練習不足で恥をかきたくない場合。
これで発表会に出るのがどうしてもイヤならば、先生と連弾してもらうやり方もあります。私はやってあげます。
連弾は人とあわせるアンサンブルの練習になるので、生徒のためになりますし、伴奏がつくだけで豊かなハーモニーと楽しい雰囲気でお客様も喜んでいただけます。
あとは、お友達に手作りの招待状を作って配ってしまうのです。
きっとお友達が来るというだけで、練習に身が入りますよ。
上手くすれば、発表会を経験することでさらに上達すること間違いなしです。
これもお母さん次第。出来ればお父さんも巻き込んでください。
お父さんがレッスンについてきたり、発表会に来る方はなぜか皆さん上手になっていきます。
ピアノをお稽古するからといって皆がプロになるわけではありません。
合唱団でも、以前ピアノをやっていたという方、譜面を読むのも早く、音程も正確です。音符で苦労しないので、すぐに歌えて楽しそうです。
また、お子さんが将来エレキギターやサックスなど違う楽器をやりたくなったときも、ピアノをやっていたことは必ず役立ちますし、可能性が広がります。
ピアノが好きだったらぜひ続けてくれるといいなあ、と思いながらレストランをあとにしました。