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アーメンは2度切る

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2010.1.30リバティスト練習日記

私が指導を努めるコール・リバティストの練習日記です。

今日はマエストロの稽古です。

マエストロ(maestro)はイタリア語で、先生、指揮者、師匠、名人、などの意味がありますが、音楽界では一般的に本番の演奏会を指揮する方のことを言います。

コール・リバティストのマエストロは小屋敷先生です。
声楽家出身で、東京混声合唱団という日本で数少ないプロの合唱団でもご活躍され、現在はオペラやオーケストラ、合唱などの指揮をなさっています。

ブストという作曲家の「アヴェマリア」「オーマニュムミステリウム」「パーテルノステル」など、宗教アカペラ曲を練習しました。
ブスト(1949~)はスペインの作曲家。
合唱曲を多く作曲しており、コーラスの演奏会ではよく取り上げられる人気の作曲家です。
宗教曲の古いスタイルを用いながら、現代人の心に直接響く今風なハーモニーが特徴。

特に「オーマニュムミステリウム」は冒頭の祈りの場面、中間部の癒しのメロディ、グレゴリア聖歌風のところ、最後の「ハレルヤ!」と叫ぶオラトリオのような部分など、魅力満載で、歌っていてどきどきわくわくしてしまいます。

「アヴェマリア」や「パーテルノステル」などの宗教曲の終わりではだいたい「アーメン」と歌って終わります。

宗教曲というのは、ヨーロッパの残響が多い教会で歌うように作られていて、曲の最後に「アーメン~」と歌ったあと「ン~」とほわんとした感じで音が空間に残ります。
ところが、日本のように残響が少ない場所で演奏する場合、なかなか理想どおりに「ン~」が残らないのです。
クラッシックの演奏会はマイクを使用しないのが普通ですので、生身の声で何とかしなければなりません。

そこで考えだされたのが「アーメン2度切り」です。

「アーメン~」と一回終わったあとにもう一度小さく「ン~」と二回nを歌うのですが、そうするとあたかも教会で歌っているかのような残響効果があります。
自ら残響を演出してしまうのです。
面白いですね。
これを先生は『必殺アーメン二度切り』とおっしゃっていました。

そういった理由で生まれた「アーメン2度切り」は日本独自の合唱唱法なのです。

どの分野でも、日本人は外国のよいものを取り入れて自分達で開発するのが得意なのですね。

後半は「星に願いを」を歌いました。

この曲、ディズニーの歌で有名ですが、今回のは大人っぽい凝ったアレンジになっています。
特に最初のイントロ部分はファンタジックな色彩のハーモニーで魅力的。

「歌は夢を与えるものです。
子供たちがキラキラした目で見ていると思ってください。
ディズニーランドの門があいて、ティンカーベルがサーッと降りてくる様子、ミッキーやミニーちゃんたちが踊っている様子を思い浮かべて。」

「歌はね、『つまらない』『自信が無い』『出来てない、やばいやばい』と思ったら声にその通り出て、お客さんにそのまま届きます。
幸せの色を作って。幸せだったときを思い出して。
さあ、幸せのスパイスをふりかけますよ!今幸せの人はそのままでいいけどネ!」

と先生はおっしゃいました。

優しい言葉で語っていますが、
「もっと音楽に没頭しなければいけない」
という厳しい意味も含んでいるのだと思います。
難しいことかもしれませんが、気持ちの切り替えと、集中力をもっとつけていきたいですね。

先生は声の調子がよろしくない状態で、いつも通りのエネルギッシュなご指導をいただきました。お疲れのところ有り難うございました。

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