テクノロジーはビジネスの道具だけど、ビジネスの革新は最新テクノロジーあってこそ
イベント取材でサンフランシスコを訪問中。昨日は、市内のいくつかの企業を訪問してきた。
最初に訪れたのはAUTODESK。3D CADのイメージが強い企業だが、そこから派生した3Dの世界でさまざまなことをやっている。自動車などの工業製品の設計、デザインに利用するのは理解しやすいが、いまは医療のシミュレーションなどの世界でも3Dは重要なツールになっているようだ。
こちらはナイキとの共同のプロジェクト。昔は、靴底にワッフルメーカーの凸凹を採用していたわけで、これはこれで画期的だったことだろう。それがいまは3Dで人の動きをシミュレーションして最適なシューズを設計するわけだ。
これは、レゴで作ったダイナソー。高さが3mほどもあるので、これを作るとなればきちんとした設計図も必要になるし、3Dの出来上がり予想図なんてものも当然いるのだろう。
これまで人間が中心に設計、デザイン、さらにはモデリングして、検証してといった作業をしていたときには、限られた数のアイデアしか試すことができなかっただろう。それが、3Dでモデルを作ることができ、さらには3Dプリンターという画期的な発明も今はある。1つのアイデアのバラエティを何百もコンピュータ上で検証できるし、いくつかを3Dプリンターで形にすることもできる。そういう中からより効率的で画期的な製品が生まれるであろうことは容易に想像できる。
若干心配なのはコンピュータに依存しすぎると、なんとなく最大公約数的なアウトプットとなり似通ったものばかりが生まれそうなこと。機能性もありユニークな製品を使うために、AUTODESKのような便利なツールを使いこなす人間側のスキルの向上が必要なのだろう。
2つ目の訪問先はUber。既存のビジネスを破壊する存在としてよく取り上げられる企業だ。どちらかと言うと、ビジネスの画期的なアイデアを実現させたところで注目されがちだが、彼らのコアはテクノロジーだとのこと。GPS付きのスマートフォンという新しい技術が世の中に普及したために実現したビジネスであり、逆に言えばテクノロジーがなければ実現し得なかった世界でもある。
Uberは個人利用からビジネスユーザーの開拓に力を入れているようで、実際にタクシー利用をUberに切り変えることで大きなコスト削減に結びついている例もあるようだ。Uberはそれでいて利用者の利便性を損なっていないところが、やはり革新的なビジネスなんだなと改めて思うことに。
3つ目の訪問企業がFitbit。日本では普及しているとは言いがたいかもしれないが、すでに世界展開を果たし、同社は上場もしている。IoTの事例としても取り上げられることも多いので、IT業界ではお馴染みの企業とも言える。
Fitbitと言えばコンシューマ向けのイメージが強いが、同社もまたビジネスユーザー向けのソリューションにも力を入れている。実際、人材管理系のアプリケーションで、Fitbitなどから得られる生体データを取り込んで社員の健康管理に活用するといった動きもあり、こういったセンサーがビジネスの世界でも存在感を示すようになるのかもしれない。いまは腕に巻くバンド型が主流だけれど、やがては人もマイクロチップを体内に埋め込んで、さまざまなデータを取得し健康管理するようになるのかもしれないとも思ったり。
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今回、一連の企業を訪問してみて、ITなどはビジネスの道具であるのだけれど、そういったテクノロジーの革新があってこその「ビジネス革新」なのだなと改めて思うことになった。