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IBMのPaaS戦略はPureApplicationとBluemixの2本立て、ライバルになり得るのはMicrosoftかな

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 先日も書いたけれど、クラウドの本命はSaaSやPaaSだと思っている。そしてこのPaaSのところのプレイヤーとして注目な1社がIBMだ。

NMS 8099 先週、IBMは最新PaaSソリューションの説明会を開催した。内容的にはSoftLayer上の開発環境とも言えるBluemixももちろんだが、もう1つ重要なものとして「PureApplication」についても説明した。

 「IBMとしていかにプラットフォームのサービスのところで攻めていくのか。そのためのソリューションは2つ、PureApplicationとBluemixです」と言うのは、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏。PureApplicationは既存のオンプレミスのアプリケーションをクラウド化するもの、クラウドアプリケーションを迅速に開発するのがBluemixだ。

 IBMとしてはBluemixをクラウドの開発ツール、開発環境というよりは「業務アプリケーションの開発ツール」として位置づけたいと考えている。新規に業務アプリケーションを開発したいときにBluemixなら迅速に行える。そして、開発したアプリケーションのデプロイ先はもちろんクラウドでもいいしオンプレミスでもいい。

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 迅速に開発できるようにするために、IBMではさまざまな「部品」を用意しBluemixから利用できるようにしている。ちなみにBluemixは当初コードネームだったころは「BlueMix」とMが大文字だったが、正式なサービス名となってからMは小文字となり「Bluemix」というのが正式な表記となったとソフトウェア事業本部 クラウド・プラットフォーム・サービス事業部 事業部長の高瀬正子氏は言う。

 話はもどって業務アプリケーションを作るための部品だが、IBMがまずは自社の既存製品をBluemixにどんどん取り込んでいる。さらに買収製品、サードパーティー、OSSという4つを軸に新しいサービスを増やしている。これらを使って、いや組み合わせてコードを少し加えるだけですぐにクラウドに対応した業務アプリケーションを開発できる。先週の時点で61のサービスが登録されており、これはどんどん増えているとのこと。部品が充実すれば、開発者はコードを書くよりもどの部品を組み合わせればうまくいくかを考えるようになるだろう。それこそがまさにPaaSらしさということであり、PaaSのメリットにもなる。

 部品となるサービスとして典型的なものの1つがCloudantだ。これは買収製品であり、モバイルアプリケーションを開発するために必要なものが揃ったサービス。ドキュメント指向のデータベースを使って迅速な開発したい人たちにとっては、気になる存在だろう。自分たちでサーバーを用意し必要なソフトウェアをセットアップしなくても、ドキュメント指向データベースを活用して柔軟なモバイル対応アプリケーションが開発できる。

 さらに流行のIoTのためのサービスもベータ版として提供される。もう1つモバイルでは利用頻度も高そうな位置情報のサービスもある。これらがBluemixには揃っており、モバイルとクラウドを活用するアプリケーションを開発したい場合には、Bluemixを検討するのもいいかもしれない。

 ちなみにBluemixを利用するには、まずは30日間のフリートライアルがある。有償サービスの支払いはWeb決済が可能でクレジットカードは日本ではお馴染みJCBにも対応する。サブスクリプション契約では、従来のソフトウェアのライセンス契約と同様のものが用意されている。

 日本では現在19社から27のソリューションがポータルに登録されている。今後継続的にISVのソリューションを載せていくことに。これを動かすPureApplication System自体はLinuxベースのW2500というx86のマシンと、AIXベースのW2700というPowerプロセッサーマシンが用意されている。ちなみにW2500のほうはWindowsもOK。 さて、もう一方のPureApplication Systemについては、いわゆるアプリケーションサーバーのアプライアンスでありクラウドサービスでありという話だ。


NMS 8106 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長の清水徳行氏によれば「パターンと自律運用が特長です」とのこと。アナリティクスのためにIBMのBIツールであるCognosを活用するパターンなどが用意されておりそれらを使うと迅速なアプリケーションの展開ができる。このパターンというやつは、他社ではテンプレートと表現する場合もあるだろう。パートナーからもすでに200を超えるパターンをワールドワイドでは提供してもらっている。

 これのクラウド版が「PureApplication Service on SoftLayer」で、こちらも6月から提供している。これでオンプレミスとクラウドでアプリケーションを自由に移動できるハイブリッドの環境が実現できるというわけだ。テスト、開発、災害対策、負荷のオフロードなどをハイブリッドな環境で柔軟に構成できる。

 このPureApplication SystemおよびPureApplication Service on SoftLayerで動かすミドルウェアが「PureApplication Software」。その最新版がV2で、可用性の向上機能としてでアクティブーアクティブ構成をとれるようになった。さらに外部ストレージのサポートも開始した。さらにV2での注目の拡張は、OpenStack HEATへの対応だろう。IBMではこの領域でもオープンな仕様に対応することになる。

 ヴィヴェック氏は「クラウドはIBMの中で重要なものです。とはいえ顧客にはいろいろな選択があります。そこがAmazonとの大きな戦略のちがいです」と言い、IBMの価値はIaaS、PaaS、SaaS、そしてプライベートとパブリックというクラウドを用意し、トータルソリューションでいくのが戦略。それで「いままでIBMが提供していた価値をクラウドでも提供する」とのことだ。

 このようにオンプレミスも意識したハイブリッドのPaaSソリューションを提供できるのは現時点ではIBMだけだろう。これに近い存在はマイクロソフトだが、コード開発の環境は揃っているが業務アプリケーションを構築するための部品的な品揃えはまだこれからだ。一方でSalesforceやAmazon Web Servicesのようにパブリックなクラウドに特化したPaaSに注力しているベンダーにも勢いがある。どれを自分たちのアプリケーション開発環境として選ぶのか、現時点での利便性だけでなく将来性なども考慮しさまざまな角度から検討する必要がありそうだ。

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