NetSuiteもSalesforceも設立の陰にOracleのラリーあり
ZDnetのほうに記事を書いたのだが、クラウドERPベンダーNetSuiteのCEO ザック・ネルソン氏にインタビューした。
ザックはもともとOracleでNCと呼ばれていたネットワークコンピュータの担当などもしていた人。NetSuiteがどうして設立したかというエピソードを語ってくれた。
NetSuiteのCTOでありファウンダーでもあるエバン・ゴールドバーグ氏が、ラリーと会話したのがきっかけでNetSuiteが生まれたとのこと。エバンもまたOracleで技術リーダーをしていた人物だ。
最初エバンは中小規模の企業向けにシーベルのようなCRMやSFAの仕組みを作りたいとラリーに相談したそうだ。でもラリーがそういったアプリケーションには、重要なビジネスデータが欠けていると指摘して、まずはERPを作るべきだと助言したそうだ。さらに、インストールして使うのでははなくインターネットで使えるものをともアドバイスした。結果生まれたのがNetSuiteであり、ラリー自身も出資することになる。
その会話の席にはSalesforce.comのCEOであるマーク・ベニオフ氏もいたのだと。結果的に、CRMやSFAの部分のクラウドは彼がビジネスとして立ち上げることに。Salesforce.comもまた、設立時にはラリーから出資を受けている。
記事のほうでは触れなかったのだが、インタビューではこんな設立のいきさつもあるので、OracleとNetSuiteはクラウドという世界でうまく棲み分けていくことを陰で約束しているのではという質問も出た。もちろん、そんなことはないとネルソン氏は否定。あくまでもビジネスアプリケーション部分ではOracleとも他のベンダーとも競合することになると。
とはいえ、いまでもラリーは主要な株主であり、彼からアドバイスを受けられることは、他のステイクホルダーからもメリットが大きいと評価されているとも言っていた。そんなラリーとNetSuiteとの関係があるから、Oracleはあまりパブリッククラウドに熱心ではなく、むしろマネージドクラウドやプライベートクラウドに力を入れているのかなと思ってしまったり。
昨年は、それまで表面的にいがみ合っていたOracleとSalesforce.comが、公式にしっかりと手を組んでいきますよという発表もあった。パブリッククラウドのSaaSやPaaSを取り巻く世界では、「Oracle、Salesforce、NetSuite連合」的な動きも今後出てきたりするのだろうかと想像してみたりも。