ハーレーダビッドソンのトライク TRI GLID ULTRAを見てきた
自分は、どちらかと言えばマイナーなものが好きだ。たとえば、日本酒だったり、オートバイだったり。ところが、facebookの友人のタイムラインなどを見ていると、そのマイナーだと思われるものを好んでいる様子がうかがえたりも。これは、類が友を呼ぶということなのだろうか。
さて、そんなマイナーだと思っている趣味の1つ、バイクの話題を。先週、ハーレーダビッドソン ジャパンが、バイクでもないクルマでもない新たな常識として「トライグライド」というマシンを発表した。これ、トライクと呼ばれる三輪車のことだ。ハレーダビッドソン製のトライクは以前からあったが、ハーレーダビッドソン ジャパンからは販売されておらず、改造されたものや独自に輸入されたものが一部国内に存在していたという状況。それを、今回正式に国内販売することになったのだ。
この3輪の車両、最大の特長は普通自動車のマニュアル免許があれば運転できることだ。道路交通法では普通自動車に区分されるから。自動車なので、ヘルメット着用の義務もない(ハーレーダビッドソンとしては着用を推奨)。そして、道路運送車両法での区分は「小型自動車(二輪)」と分類されるので、自動車でありながら車庫証明も必要ない。とはいえ、400万円を超えるこの車両を手に入れたら屋内駐車場が欲しくなるのは間違いないけど。高速道路料金は軽自動車と同じ。ただし、最高速度は80km/hに制限される。二輪と四輪のなんだかいいとこどりをした車両という位置づけになる。
ちなみに、排気量は1,689ccなので、そこいらのコンパクトカーよりは遙かに大きなエンジンを搭載している。燃費もカタログ値で16.1km/lなので、全然エコとは言えないだろう。車重はちなみに559kgもある。重たいので電動のリバース機能も装備。
このマシン、ターゲットは35才以上。リターンライダーや、ハーレーに憧れていたけれど免許がなくてあきらめていたというお金持ち世代だ。なにせ、価格が400万円を超えることを考えると、若者が簡単に手を出せる代物ではない。
【クルマのフットブレーキのような大きなペダル】
3輪であることのメリットは、安定性だ。当たり前だけど、基本的には倒れない。立ちゴケはないということ。クルマに近いことから、ブレーキは通常なら後輪だけのフットブレーキは、前輪にも自動的に制動がかかるようになっている。なので、クルマのブレーキ操作と同じような感覚で運転できるのだ。逆に右レバーによる独立した前輪ブレーキ操作も行えるので、バイク乗りでも違和感なく操作できるだろう。
【真ん中の液晶パネルはオーディオシステム、タッチ式の6.5inchディスプレイが標準装備】
実際にまたがった感じは、通常のハーレーと変わらないボリューム感だった。少なくとも前だけ見ていればバイクそのものだ。ただし、思った以上に後輪部分の車幅があるので、そのあたりになれるまでには、多少時間がかかるかもしれない。
クルマだけ運転してきた人間よりも、おそらくバイクに乗り慣れている人のほうが、運転には違和感が出そうだ。なぜなら、バイクを傾けても曲がらないから。バイクはハンドル操作ではなく、傾けることで曲がる、これは傾かないのでハンドル操作で曲がらなければならない。なので、実際にワインディングなどを走行する際には、バイク以上にイン側への体重移動が必要なのではと思う。まあ、このトライク、まっすぐな道をゆっくり走る乗り方が一番心地いいだろうから、ワインディングのことなど心配しても始まらないかもしれない。
【車幅には慣れも必要かも】
日本の道路は、自転車も含め二輪車は実に走りにくいのが現状。ほぼクルマ用にしか考えられていないので、二輪車は異端児なのだ。とくに都会は走行しにくいし、駐車場などのインフラも二輪車用はかなりお粗末。そう考えると、このトライクという存在は二輪車よりも日本の交通事情に適合しているのかもしれない。値段とか燃費とかを除けばだけど。
輸入小型二輪車の新規登録台数は、ここ最近はじつは増加傾向にある。国内のバイク市場は決して活況ではないけにも関わらずだ。ちなみに日本自動車輸入組合が発表した2013年の輸入小型二輪車の新規登録台数は、前年比7.8%増の2万1,905台となっており、中でもハーレーは1万2,076台でシェアは55.1%を占めているのだ。ある意味、輸入車の中ではハーレーがダントツだ。そんな中で、今回のトライクがさらに市場を広げることにつながるのか。そのあたりも、アベノミクスの成否にかかっていたりもするのだろうか。ちなみに、ハーレーダビッドソン ジャパンの正規販売代理店で、今後は中古車も扱うようになるとのことで、利用者数の増加にはこちらの施策のほうが効果は高そうな気がする。
【後部座席の乗り心地は良さそう、シート下のトランクも125lと大容量】
いまの自分では到底手の出るマシンではないけれど、お金と駐車場が確保できるのであれば、ちょっと所有したい気になるマシンではある。