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目玉はインメモリーデータベース、いや、America’s Cupだったか

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 さて、先週はOracle OpenWorldの取材で、サンフランシスコに行っていた。事前の予測では、Software on Chipが目玉かなと思っていたのだが、ふたを開けてみたら一番の話題はインメモリーデータベースだった。

 今回Oracleが明らかにしたインメモリーデータベースは、Oracle Database 12cのオプション機能の1つとして実現されるようだ。なので、別途専用のインメモリーデータベースがOracleから登場するというわけではない。まあ、もともとTimesTenというインメモリーデータベースがOracleにはあったわけで、それとは別のOracle Databaseの拡張機能という位置づけだ。

 詳しいことはまだ明らかにされていないが、カラム型とロー型の両方のストアをメモリ上に持つようだ。すべてをインメモリーに置く必要はなく、テーブル単位などで指定してインメモリー化できる。

 カラム型をインメモリーで持つことで、OLTP用となるロー型のディスクベースのデータベースでは、リソースコストの高い分析、検索用途のインデックスをすべて取っ払うことができる。それだけでもOLTP用のデータベースの処理は、かなり高速化することになるというわけだ。

 もう1つの特長は、アプリケーションサイドからは、インメモリーデータベースなのか、従来のディスクベースのデータベースかを意識する必要はないこと。完全に透過的に扱えるものとなるらしい。なので、アプリケーションへの修正は一切必要ない。また、RACも使えれば12cのマルチテナントもOK。その他のデータベースの可用性、信頼性を高める仕組み、バックアップの管理など、すべて従来のOracle Databaseのものが利用できる。つまり、インメモリー用に別途運用管理の手間が増えることはない。このあたりも、データベース管理者にとっては朗報だ。

 このインメモリーデータベースを高速化する部分に、じつはSoftware on Chipのテクノロジーが活用されることになる。というわけで、事前の予測と関連性はあったことにはなる。今回は、インメモリーデータベース機能が登場することが発表されただけで、その中身がどうなっているかはまだ分からない。とはいえ、一部の顧客では先行してこのインメモリーデータベースの評価も始まるようで、この機能の登場もそれほど遠い将来でもなさそうだ。鍵は、既存のバッファキャッシュの活用だとのこと。このあたりは、引き続き取材してその仕組みを明らかにしていきたい。一応、2014年中には出るというのが、Oracleのいまのところの見解だ。

 さて、SAP HANAは、これが出てくればそれなりに影響を受けることになるだろう。少なくとも既存のOracle Databaseユーザーがインメモリーデータベースを使いたいと考えたときに、アーキテクチャーも管理も異なるHANAを積極的に採用する理由はあまりなくなりそうだ。SAPがどうやってHANAの顧客を獲得していくかは、それなりにチャレンジとなりそうだ。すでに製品が世の中にあるというアドバンテージを活かすことで、ビジネスを拡大していくことになるのだろう。

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 さてさて、そんな発表で盛り上がっていたOracle OpenWorldなのだが、3日目に予定されていた2回目のCEOラリー・エリソンの基調講演は、急遽キャンセル。ピンチヒッターで、Oracle Cloudに関しての発表が行われた。キャンセルの理由が上の写真。そう、ラリーがスポンサーしている、ORACLE Team USAのAmerica's Cupの試合いがまさに大詰めだったから。

 1勝8敗と大きく負け越し、あと1敗すれば優勝をニュージーランドチームに持って行かれる状態だった。それがこの日、なんと2勝して8勝8敗の5分に持ち込んだのだ。翌日には最後の1戦が行われ、見事、ORACLE Team USAは優勝する。この写真は、優勝直後のORACLE Team USAのヨットの状況。ラリーは総監督的な立場で、この日も伴走するボートに乗っていた。

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 じつは、今回、このAmerica's Cupの決勝に、日本から取材に行った記者は招待され、生で観戦することができたのだ。終了後の記者会見にも参加でき、満面の笑みを浮かべるラリーも目にすることに。というわけで、インパクト的にはAmerica's Cupが最も印象深かったOracle OpenWorld 2013、ということに。

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