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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

これまででもっともハードな練習した結果の勝利、その裏にはきっとビッグデータの活用があったはず

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 6月15日土曜日、東京、秩父宮競技場で、日本のラグビー界に新たな歴史が刻まれた。

 直前の欧州の6カ国対抗で優勝し、世界ランキング5位のウェールズに、なんと15位の日本が勝利したのだ。ラグビーは実力差が点差となり、そのまま勝敗に反映される競技。大番狂わせ的な試合はまずない。なので、世界ランクで1桁のチームと日本が対戦すれば、大差で負けるのが普通というのがこれまでだった。

 それが、23対8での完全な勝利。悲願とも言える勝利だったのだ。そりゃぁたしかに、今回来日したウェールズのメンバーは、主力が外れた1.5軍だったかもしれない。とはいえ、きちんんとした国の代表としての試合。なので、結果は素直に喜んでいいことだろう。

 勝因の分析として、さまざまな報道がすでになされているが、もっとも影響したのはとにかくいまのジャパンの選手は練習をして身体を鍛えたということにつきそうだ。ほぼ毎日のように朝5時から、身体を作るトレーニングを行っている。

 このトレーニングも、無闇にやっているわけではない。個人ごとにポジションも違えば、強いところ、弱いところ、伸ばすべきところなどが異なる。それら個々の状況に合わせ、トレーニングをするのだ。さらに重要なのは、たんに筋肉質な身体を作ればいいというわけではない。作り上げたストレングスを、試合で十分に活用できないとならない。

 そのために、いまのジャパンでは、GPS端末を試合中に装着し、走行量や速度、加速度やタックルで受ける衝撃、心拍数などさまざまなデータを収集し、それをトレーニングや練習で活用している。つまりは試合でもっとも動ける、動き続けられる身体とスキルを、それらデータを活用して作ってきたのだ。このあたりのことについては、以前にラグビー日本代表のストレングス&コンディショニングコーディネーター ジョン・プライヤー氏にインタビューしたことがある。その際には、ビッグデータを試合に勝つためにどう活用しているか、かなり興味深い話があった。

 ラグビーもまた、最高峰のワールドカップがある。次回は2015年のイングランド大会。まずはここで、決勝ラウンドに残ることがジャパンの目標、ランキングでは10位以内を目指す。そして2019年のワールドカップは、ここ日本で開催、目標はベスト8入りだ。

 その日本でのワールドカップ開催のためもあり、これから国立競技場など神宮外苑周辺の競技施設の建て替え、再開発が始まる。これは、オリンピックが東京で開催されるか否かに関わらず、実施されることなのだ。

 ラグビー好きの間では、かなりの盛り上がりを見せた週末だった。とはいえ、まだまだ競技場に足を運ぶ人は少ないのが現状。次のジャパンの試合は、19日水曜日の名古屋、瑞穂競技場でのカナダ戦。そして、23日日曜日には再び東京、秩父宮でアメリカ戦もある。ウェールズ戦は、今回地上デジタル放送でも中継があったが、もし見逃した方はなんとフルタイム、YouTubeでの観戦が可能だ。あの感動を、是非もう一度味わってみてはいかが。

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