【書評】データ分析できない社員はいらない
すでに今日から長期休暇に入っているという方も少なくなさそうだ。そんな休みの時間中に、読んでおいてためになりそうな本を1冊。
ビッグデータがもてはやされているわけだけれど、NoSQLのデータベースなりでビッグデータを扱えるようになったとしても、そのデータの中から意味あることを読み取れなければなんら意味がない。なので、多くのベンダーはビッグデータのソリューションと従来のBI(Business Intelligence)のソリューションを融合させ戦略としている。とはいえ、このBI、随分昔からあるものだけれど、まともに携わったことがある人はまだまだ少ないのではないだろうか。Excelで仕事に必要なデータをまとめたりとかくらいはしているけれど、BI、データ分析となるとちょっと尻込みというのが現実か。
今回紹介する書籍は、そのデータ分析ができないようでは、これからのビジネスの世界はわたっていけないよ。データ分析のできない社員はいらなくなるよという内容が記載されている。とはいうものの、ダメ出しのための本ではなく、そうならないためにデータ分析ができる社員になるためのガイドBookのようなものだ。
まずは、目次構成。
第1章 データ分析の目的って?
分析結果から正しい戦略を導く
業績を伸ばすための4つの視点
第2章 売上を増やすためのデータ分析
以前の売上と比べる
売上の傾向を把握する
売上目標の達成度を見る
売上の先行きを見通す
売れ筋の商品を見る
重要度の高い商品を見つける
勢いのある商品を見つける
分析結果を検証する
商品の最適な価格を割り出す
商品のライフサイクルを見る
商品の配置で売上を伸ばす
第3章 コストを減らすためのデータ分析
以前の経費と比べる
経費目標の達成度を見る
重要度の高い経費を見つける
急激な変化を見つける
経費の配分を適正にする
第4章 在庫を最適化するためのデータ分析
在庫の効率を調べる
商品・場所で効率を調べる
重要度の高い在庫を見つける
問題児になっている在庫を探す
在庫と利益のバランスを取る
ケーススタディ 在庫編
商品の需要を予測する
機会損失を防ぐ
生産・仕入れの数量を計算する
最適在庫数をキープする
ケーススタディ PSI編
第5章 利益を管理するためのデータ分析
利益を分解して管理する
利益・コスト構造を把握する
利益を予測する
ケーススタディ 利益編
予算と現状の差を見る
予算の達成度を見る
予算達成の見込みを見る
ケーススタディ 予算編
第6章 部門ごとに変わるデータ分析のやり方
営業部門のデータ分析
マーケティング部門のデータ分析
調達・在庫部門のデータ分析
事例を交えながら、実際にどのようにデータを分析すればいいかが解説されている。同じデータをもとに分析する場合にも、グラフの作り方1つで見えてくるものは異なる、そんなチップスが多数盛り込まれている。簡単なことだけれど、たとえば複数商品の売上金額の推移を単純に折れ線グラフで表すと、金額の規模が大きいモノは変化が見えるけれど、そもそも規模が小さいとよくわからない。これを売上の伸び率でみると金額規模に限らず売上の傾向を見やすくなるといった具合だ。
こういったことが、職種に応じて必要になりそうな分析項目に沿って、丁寧に解説している。著者達がコンサルタントとして現場で実際に対峙したことをもとにしているので、現実味があり机上の空論的でないところが頼もしい。総ページ数は220ページ程度。まずはこの休み中にでもざっと一通り目を通しておき、あとから自分の仕事に関係しそうなところをじっくりと読み込むという読み方がお薦めか。会社のデスクそばに置いて、実際にデータ分析する際の教科書的に利用するのにも最適な書籍だと思う。