バックアップは最後の砦、なのでアプライアンスで提供すべき
昨日はEMCの発表会に。重複除外バックアップのData Domainの新製品に関する発表だった。
EMCは、「Tape撲滅キャンペーン」という感じで、バックアップメディアにはハードディスクをと主張している。テープ装置はもう時代遅れというわけ。とはいえ、これまでは比較的高価なディスクバックアップのソリューションしか提供しておらず、コストの面でバックアップを完全にディスクに移行するのは難しい情況もあった。それが今回は、中堅、中小企業でも導入できそうな、105万円にてData Domainのエントリーモデルの提供を開始した。
この発表の中でEMCが主張していたのが、これからはバックアップも「アプライアンス」での提供が主流になるというもの。現状は、テープ装置は減少傾向で、それなりに大きなシェアを占めるのが一般のストレージにバックアップソフトウェアを組み合わせたソリューション、次いで今回のData Domainのようなアプライアンス型のバックアップソリューションとなっている。しかしながら、市場での伸び率を見ると前者が年間で5.2%程度なのに対し、後者は16.6%もあるとのことだ。
このアプライアンス型の主力が、Data Domainのような重複除外機能を組み込んだディスク装置。重複除外はソフトウェアでも提供されているが、あらかじめ組み込んだバックアップ専用機として提供する必要があるとのこと。というのも、一般のストレージは基本的にはOLTPなどの処理が高速に行えるような工夫がなされており、高速性やトランザクション性能を重視するがために「確実にデータが書き込まれたかを保証する」部分は省かれているとのこと。もちろん極めて高価なディスク装置ならば両立するものもあるだろうけれど、一般のものはそうでない。そうなると、一般のストレージにバックアップソフトを組み合わせても、「最後の砦」になり得ないと言うのだ。バックアップ装置を最後の砦にするには、バックアップ専用のアプライアンスが最適というのがEMCの主張だ。
テープ装置に比べて圧倒的な高速性、遠隔地間でのレプリケーション機能なども装備し、テープを駆逐する勢いがあるのは確かだろう。とはいえ、バックアップ用途ならそれもいいのだけれど、昨今ニーズが高まっているアーカイブでは本当にディスク装置が良いのだろうか。数年間にわたりデータを保存しなければならない場合に、オンラインのディスクにデータを置いておくのが本当に良いことなのか。テープなら保存している間の電力エネルギー消費も、はるかに小さくて済むはず。オンラインのディスクで普段はほぼ使わない大量なデータを数年間保存するというのは、現実的なのだろうか。
このあたりをEMCに質問してみたところ、ハイエンドの部分ではディスク装置によるアーカイブのソリューションをすでに提供しているとのこと。コスト的にはGBあたり30セントくらいを実現しており、十分にアーカイブ装置として利用できるものとのことだった。なるほどねと思う反面、これはかなりハイエンド用のアーカイブソリューションで、今回提供が開始されたData Domainのエントリーモデルに対応するようなものではないだろう。そうなると、保存ということだけを考えれば、まだまだテープ装置が活躍する場面はありそうだ。
なんて考えていたんだけれど、考えてみればテープの部分を単純にディスクに置き換えることもできそうな。テープロボットが入れ替えるのがテープカートリッジではなくカートリッジ型のディスクであればいいのではと言うこと。そうすれば、長期保存の際にはディスクをオフラインで保存できるし、バックアップ時にはディスクの高速性も確保できる。これ、技術的には問題ないと思うのだけれど、ディスクを移動したり頻繁に抜き差しするとなると「最後の砦」となる信頼性を確保するのがやっぱり難しいのかな。