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EPUBの進化で電子書籍の独自フォーマットの将来性はどうなるのか

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 昨日から、わけあって電子書籍端末のSONY Readerをいじっている。さすがにきちんと日本のマーケット対応製品ということもあり、Kindleと比べてみても日本人には快適な部分が多い。

 Readerの扱えるファイルの種類は多い。XMDF、EPUB、PDF、Text、MP3、AAC、JPEG、GIF、PNG、BMPと幅広い。XMDFは、さすがに日本独自仕様、縦書きの小説などはこれだよな、これなら読む気になるよなというきれいな表示になる。音楽ファイルの再生にも対応していて、本を読みながら音楽を聴くこともできる(実際にそれをやるかは別だけど)。

 EPUBの表示にも対応しているので、自分たちで作成したEPUB電子書籍なんかも表示可能だ。残念ながら、iPadのように映像を埋め込んだようなEPUBは、現時点では表示できない。EPUB3.0が登場するころには、縦書きやその他の拡張機能にも対応してくれるのだろうか。ソフトのバージョンアップで可能になったりするとかなり嬉しい。難点を指摘すると、やはりネットワーク機能がないこと。これに3G通信機能がついてKindleのように使えればなぁとつくづく思う。さらに個人的にはMac環境に対応していない点もちょっと辛い。Calibreというツールで中身の管理はできるので、まったく使えないということではないけれど、さすがにちょっと不便ではある。

 じつは今回は、日本独自フォーマットのXMDFではなく、世界標準とも言えるEPUBの表示をReaderで確認している。当然だけれど、概ね問題はない。JazzJapanの電子書籍も、ビデオなどを除けば問題なく表示できる。
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 そのEPUBだが、5月には3.0が登場して仕様上は日本で待望の縦書きやルビなどに対応してくる。なので、今年夏頃からは新たなEPUB3.0を活用する日本語の電子書籍が続々と出てくるのではと期待しているし、自分たちでもどんどん制作して行く予定だ。書籍が先で、各種端末用のEPUB3.0対応リーダーが出遅れることになりそうな予感もあるくらい。

 ReaderのEPUB表示については、若干問題というか課題もある。iPadなどでは問題ないEPUBファイルがReaderではうまく表示できないことがあるのだ。問題のあるEPUBファイルをepubcheckというツールで検査してみるとエラーがたくさん出たりするので、リーダー側が悪いというよりも、作成されているEPUBファイルのほうに問題があるのかもしれない。このあたり、初期のころのHTMLファイルと各種のWebブラウザとの関係と、同様の情況だと言えるかも。

 EPUB3.0は、日本語の組版対応部分に注目が集まっているが、そのほかにもさまざまな拡張がされるようだ。動画や音声の利用やページ単位でのレイアウト、テキスト読み上げ機能なんていうものもある。HTML5がベースになっていることもあり、どんどん表現力は進化していきそうだ。そうなると、日本独自のフォーマットの優位性はどこになるのだろうか。当初は日本語組版の部分では一日の長があるだろう。しかし、相手は世界標準だ。関わっている人も多く、どんどんと追い上げてくることが予測される。世界中が対象になるので、コンテンツ制作側もEPUBを選択する意味は大きいだろう。

 Googleなんかが本格的にEPUB対応するようになると、流れは一気にEPUBに移ると思っている。独自仕様陣営は、早い段階でこれまでに蓄積してきたノウハウを、EPUB側に提供するとか考えたほうがいいのではと心配してみたり。

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