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Salesforce.comのオープンとOracleのオープンが似ているなと思う

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 本日は、Salesforce Developer Conferenceに参加。Salesforce.comに買収されたHerokuのCEOであるバイロン・セバスチャン氏が来日し、午前中には記者向けにCoudのプラットフォーム戦略であるCloud2に関する説明会も開催された。

 Cloud2というのは、たんにインターネット上でアプリケーションが動いているというCloud1というものから、facebookやTwitterなどのソーシャルネットワークのように、モバイルから使えて、ソーシャル的なコミュニケーションができるというあたりにその違いがある。このCloud2を実現するプラットフォームをSalesforce.comは提供するわけで、その際のキーワードは「オープン」ということ。

 このSalesforce.comの言う「オープン」は、Oracleがよく言うそれとかなり似ている。基本的には業界標準をサポートして、APIなりプロトコルのサポートなりをすることで、さまざまな既存技術と連携できるようにするという「オープン」だ。自らの仕組みのなかに独自なものがあったとしても、基本的には外との口は開いていますよ、みんなが利用するものはサポートしますよという態度のオープンとも言える。

 ということで、とりあえずVMforceでオープンスタンダードのJavaを、HerokuではRubyの開発環境をSalesforce.comとしてサポートするわけだ。そしてさらに、新たなCloudのDatabaseサービスであるdatabase.comのところでは、あらゆる言語、あらゆるデバイスをサポートしていく方針だ。開発環境はPHPでもいいし、Microsoftの既存技術からでもdatabase.comにはアクセスできるようになっているとのこと。かつての、開発にはApexコードしかなかったころからくらべると、たしかにかなりオープン色が濃くなったように思えてくる。

 まずJavaを選んだのは、世界中に600万人以上の開発者がいるというのがその理由であり、Rubyについては100万人を超える開発者がいることに加え、ソーシャルネットワーク系のサービスの上でRubyを使ったアプリケーションがすでにたくさん開発されているからだとのこと。おそらく使い分け的には、いわゆるエンタープライズ系のアプリケーションはVMforve+Javaで、ソーシャル系で変化や成長の著しいようなものはHeroku+Rubyで開発することになるのだろう。それ以外の既存技術も「オープン」であることでdatabase.comを核にして適宜連携させることができそうだ。

 とはいえ、これらオープンな環境が揃うからと言って、既存のオンプレミスのアプリケーションがそのままSalesforce.comのCloud2に、そのまま移行できるというものではない。むしろ、移行させるとなればそれなりに苦労をともなうことになるだろう。そうであれば、いっそCloud2の上で1から作り直したほうが早いものもありそうだ。これは、Salesforce.comだけに限らず、他のクラウドのプラットホームを利用するときも同様だ。なんでもそのまま雲の上に持っていけばいいというものではない。このあたりの見極めの能力が、ISVやSIには求められると思われる。

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